先日、東京・上野にある国立博物館に取材に出向いた。一般紙の文化部記者なら博物館は通常の守備範囲ではあろうが、スポーツ紙だと取材ではあまりなじみがない。もっとも、現在はコロナ禍のため同博物館は休業中だ。
この日は、東京国立博物館とNHKが、8K技術を使った共同研究「みんなの8K文化財」プロジェクトの会見を行った。8K技術や最先端のスキャナー、フォトグラメトリ技術を使って8K文化財を制作し、これをさまざまなデジタルツールを組み合わせて、誰もが文化財を楽しめるという、今の時代にあった美術鑑賞方法を探求するものだ。
例えば、同博物館に展示されている「遮光器土偶」は、形状を3Dで計測し、土偶を一眼レフで撮影。これを合成し、8Kを超える解像度を実現した。この映像を、ゲーム機のコントローラーで自由自在に動かして、土偶の中までを見ることができるのはもちろん、いくらでも拡大して見ることが可能。超リアルなレプリカも作られ、手に取って触れることもできる。
また、「洛中洛外図屏風 舟木本」も8K文化財が作られた。8Kなので、いくら拡大してもぼやけることなくリアルな絵を鑑賞することができる。実物の屏風絵ではいくら目をこらしてもみえないものだ。京都の街中が描かれている作品だが、女性たちは、立て膝で座っている。これは、畳もまだなく、板の間のために正座の文化がまだなかったのだという。この屏風絵には2700人を超える人が描かれており、この1人1人を確認することまでできるのだ。
このプロジェクトはコロナ禍だから、スタートしたわけでもない。でも、今の時代には最適な美術鑑賞のように思えた。【竹村章】



