米俳優ジョニー・デップ(57)が製作、主演を務めた最新作「MINAMATA(原題)」が、9月に東京・TOHOシネマズ日比谷をはじめ日本で公開されることが決定した。22日、配給のロングライドが発表した。

「MINAMATA」は、熊本県水俣市のチッソ水俣工場による工業排水を原因として、現在まで補償や救済をめぐる問題が続く日本の“4大公害病”の1つ、水俣病の存在を世界に知らしめた、米国人写真家ユージン・スミス氏とアイリーン・美緒子・スミス氏が1975年(昭50)に発表した写真集「MINAMATA」を元に、デップが製作、主演し映画化。今年の5月1日で、水俣病の公式確認から65年を迎える。

ユージン氏は、デップ自身が長年の憧れだったと語る人物で「MINAMATA」は同氏の遺作。映画では、報道写真家として功績を評価されながらも心に傷を抱えたユージン氏が、当時の妻アイリーン氏とともに水俣を訪れ、71年から74年の4年間、現地で暮らし人々の日常や抗議運動、補償を求め活動する様子を何百枚もの写真に収めていく濃密な日々が描かれる。デップは、傷ついたユージン氏が、再びカメラを手に取り闘いに身を投じていく生きざまを容姿から内面に至るまで見事に体現し、現代によみがえらせた。「彼は心の中に痛みを抱えていた。でも、水俣が彼の心を再び開いたんだと思う」と語った。

「MINAMATA」は、20年に世界3大映画祭の1つ、ベルリン映画祭で特別招待作としてワールドプレミア上映され「デップが最高の演技を披露」「デップが役に消える」などと各国メディアが絶賛した。共演は英国の俳優ビル・ナイのほか、日本から真田広之、国村隼、美波、加瀬亮、浅野忠信、岩瀬晶子ら実力派キャストが集結。音楽は坂本龍一氏が手掛けた。主な撮影はセルビア、モンテネグロで行われた。