古田新太(55)が23日、東京・新宿ピカデリーで行われた、7年ぶりの主演映画「空白」(吉田恵輔監督)初日舞台あいさつで、娘を演じた伊東蒼(16)から、食事のシーンを演じた際、食卓にあった刺し身を食べようとしていたと暴露された。

「空白」は、古田演じる漁師の添田充の中学生の娘花音(伊東)が、スーパーで万引しようとしたところを松坂桃李(32)演じるスーパー店長の青柳直人に見つかり、追いかけられた末に車にひかれ、死んでしまう。娘のことに無関心だった添田は、せめて娘は万引きをしていない、無実だと証明しようと店長を激しく追及するうちに、姿も言動も恐るべきモンスターペアレントと化し、学校関係者を含め、関係する人々全員を追い詰めていく物語。

古田と伊東は父1人、娘1人の家庭で食卓を囲むシーンを演じた。オーディションで役を勝ち取った伊東は、古田とそのシーンで初めて対面したといい「(古田の迫力で)ドキッとしたんですけど、カットがかかった瞬間、食卓に並んでいた、お刺し身を『食べたい』ってお話を、ずっとされていて…。『どうやって本番中、お刺身にいこうか』と悩んでいらっしゃった」と笑いながら明かした。

古田は、思わぬ暴露に「捨てるの、もったいないでしょ、食品ロス」と苦笑した。その上で「(伊東と共演した)最初は、罵倒する食卓のシーンで(伊東は)本当にビクついているのかなと思うくらい、リアル。この子は絶対に、売れるんだろうな…ゆくゆくは、ついていかなきゃ、という気がしました」と伊東を絶賛した。その上で、食事のシーンについて「(演じた添田は)粗野な人なので、ビールを飲んだり、飯食ったり…どのタイミングが良いのかな。食ってるもの(口から食べ物)が出たら、汚いだろうなと思いながらやっていた」と笑った。

また、劇中で添田の船で働く弟子の野木龍馬を演じた藤原季節(28)も、添田の元妻・松本翔子を演じた田畑智子(40)と3人で定食屋で食事をしたシーンで、古田が「目の前でワーッと泣いているのに、カットと言われたら、僕が残したエビフライをパクパク食べちゃった」と明かした。さらに、藤原が「(古田が)『もったいねーじゃん』って言って、泣きながら何個も食べてて…混乱しました」と続けると、古田は「それ(切り替えが早い)が役者の仕事です」と不敵に笑った。

古田は、緊急事態宣言発出直前の20年3~4月に行われた撮影について聞かれると「ずっとゲラゲラ、ヘラヘラ笑って撮影していた。監督は笑って、誰よりも泣いているし…その後、速攻に飲みに行っていたもんね。非常に楽な楽しい現場」と振り返った。共演陣についても「皆さん、早く帰りたい人たちが多いので、なるべくNGを出さないように、滞りなく進むようにと。全部、ものすごい、とげとげしいシーンばっかりだったので、その反動で『終わったら、すぐ飲みに行こう』という感じでした」と言い、笑った。