-世の中で「アンチエイジング」という言葉がもはや一般的になり、いつまでも若く見られたいという大人の男性が増えている気がします。舘さんは加齢に対して、どのように向き合っていますか。


これはね、これまで自分の周りに、すごい良いお手本がいっぱいあって、石原裕次郎さんもいたし、渡哲也さんもいたし、それとやっぱり勝新太郎さんもいました。皆さんそれぞれ、違う年の取り方をしていました。一番逆らわなかったのは多分、勝さんのような気がします。


勝さんを見ていると、あるがまま、まったくそのままという感じで。それはそれですごく素敵な生き方だと思うし、ある意味、渡さんはそれにちょっと抗って生きていくというか、そういうところもあったし、石原さんはもうその前に亡くなってしまったので、そんなことを考える余裕もなかっただろうし、そういう方々を見ながら、ある時は、ああ、年相応でいいのかなという風に思ったり、ある時は加齢に対して、抗ってみたり。だからこれでいい、俺はこうだ、というのはあまりないんだよね。


ただ体力的には走ればしんどいし、階段を昇ればハアハア言うし、それはしょうがないし、でもどこかで、いつまでも若くて素敵ねって言われたいという妙な色気みたいなものがいまだにあったりして…。俺なんかもう、女にささげた人生ですからね。


アンチエイジングを語る舘ひろし
アンチエイジングを語る舘ひろし


-人生のどれぐらいをささげてきたのですか。



まあ100%でしょうね。それが基準なので(笑い)



-アンチエイジングといえば、あまり髪を真っ黒には染めていない印象があります。こだわりがあるのでしょうか。



これでも結構染めているんですよ。染めているんだけど、真っ黒にするのはおかしいでしょ。


多分しわとのバランスなどがきっとあるんだろうし、なるべく自然に見えるというか、上手なうそをつきたいというか、上等な詐欺師になりたいというか(笑い)。ルックスはそうですね。若く見られたいというか、若く見られたらラッキーというのはありますけど、何としても見られたいというのはないですね。



-周りに頑張ってジムに行ったりする人はいますよね



ジムに一生懸命行く人はいますよ。ゴルフ仲間が多いので、ジムに行って飛距離をキープしようとかね。それは僕もあるし、重いものを振ったりします。


でもそれがすごくアンチエイジングのためにやっているかというと、そうではなくて、別の目的というか、ゴルフで負けないようにとか、そういうことだと思うんだよね。それがたまたまアンチエイジングにつながっていくことはあるかも知れませんが、若く見せるために、すごくいろんな努力をするっていうことはないですね。


僕は撮影の時にメークはしますけど、普段からメークをしたいとは思わないし、そういう意味では、普通の自分でいたいという、普通の自分自身でいたい。それが例えば、体力を付けて、そういう風に(若く見られることに)なっているんだったら、それがその人なのだから、整形をしたり、そういうことは僕はあまり考えない。それが平気という人もいて、それはその人の生き方だから、それはそれでいいんじゃないかという気がします。


(ニッカンスポーツ・コム/舘ひろし「人生哲学」)