大正から令和まで、4時代を生きた作家で僧侶の瀬戸内寂聴(せとうち・じゃくちょう)さんが9日、心不全のため京都市内の病院で死去した。99歳。11日、寂聴さんが京都に開いた寺院「曼荼羅山 寂庵(まんだらさん じゃくあん)」が公式ホームページで発表した。作家、尼僧としてメディアにも多数出演し、愛や性をオープンに語りながら、人々の悩みや心に寄り添う法話を長く続けた。

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寂聴さんは演歌・歌謡曲の作詞もした。中村美律子(71)に05年に「風まかせ」を書いた。季節の移り変わりに重ねて、恋愛を風まかせと表現した。中村は「寂聴さんとはひょんなご縁で作詞をしていただき、岩手の天台寺で信者さんの前で歌わせていただいたり、南座公演に駆けつけてくださってステージに出ていただいたり、なんでもフランクに相談できる先生でした。先生は100歳まで生きるとおしゃっていたんです。来年、その年齢でした。だけど、昔の数え年なら100歳だし、残された者としては、心のよりどころを失ったような感じですが、天寿を全うされたと思います。ご冥福をお祈りいたします」とコメントした。

秋元順子(74)には11年に「その花は…~変わらぬ愛~」を書いた。壮大なラブバラードで、恋愛観だけでなく人生観までをも表現した。秋元は「訃報に接し、心より哀悼の意を申し上げます。11年に書いていただきました。その年の、世界蘭展の記念の曲として歌わせていただいた後に、シングルリリースが実現し、当時のコンサートツアーで、たくさん歌わせていただきました。心に残る思い出をいただきまして、感謝申し上げます。本当にありがとうございました。心よりお礼申し上げます。合掌」とコメントを出した。

寂聴さんは06年のNHK全国学校音楽コンクール高等学校の部の合唱課題曲「ある真夜中に」も作詞した。愛と祈りのドラマチックな組曲となっている。