宝塚歌劇団の花組人気スター永久輝(とわき)せあが25日、大阪市北区のシアター・ドラマシティで、東上初主演作「冬霞(ふゆがすみ)の巴里」の初日を迎えた。前花組トップ明日海りおから「三井住友カードVJAグループ」イメージキャラクターを引き継いだ花形スターが、3年ぶりセンターに立った。

雪組時代の19年3月「PR×PPRince」(宝塚バウホール)以来、同年11月の花組異動後初の主演作は、東京公演つきの外部劇場公演となった。

今作の作・演出は指田珠子氏で、古代ギリシャの作家アイスキュロスの悲劇3部作「オレステイア」をモチーフにし、舞台は19世紀末のパリ。華やかな都市文化の裏で、汚職と貧困が広がる中、資産家の父を殺害した母、叔父への敵討ちを目指す青年オクターヴの苦悩を描く。

永久輝演じるオクターヴと、姉アンブルは寄宿学校を卒業し、オクターヴは新聞記者、アンブルは歌手に就いた。父の死後、母は叔父と再婚。姉弟は、祖父の葬儀を機にパリへ戻り、下宿に移り住む。素性不明な男ヴァランタンと出会い、さらなる深い闇へと迷い込んでいく。

11年入団の永久輝は、雪組だった下級生時代から華やかで麗しい立ち姿も注目され、新人公演に5回主演。花組へ移り、スタイリッシュさに磨きがかかった。今作では、敵討ちに燃え、悩み、苦しむ青年を繊細に表現した。

開幕前日の24日には通し稽古を終え、最終確認。「みんなで力を合わせて、元気に千秋楽まで頑張りたいと思います」と誓い、開幕に備えていた。

姉アンブルには、19年入団の105期生、星空美咲がふんして好演。謎の男ヴァランタンは、人気スター聖乃あすかが持ち味の貴公子然とした魅力を封印して、ダークな役に挑戦した。

シアター・ドラマシティ公演は4月2日まで。東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)は4月8~14日の予定。