杏(35)と大島優子(33)が8日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた、阿部寛(57)の主演映画「とんび」(瀬々敬久監督)初日舞台あいさつで、母性をにじませた。

「とんび」は、阿部演じる日本一不器用な男・ヤスが、愛妻美佐子(麻生久美子)との間に、北村匠海(24)演じるアキラが生まれ、ようやく手にした幸せが、美佐子の事故死によって脆くも打ち砕かれてしまう。そんなヤスが、人情に厚い町の人々に叱咤激励され、アキラを育てていく物語。杏は劇中でアキラの職場の先輩で婚約者の由美を、大島は安田顕(48)演じるヤスの幼なじみ照雲の妻で、わが子のようにアキラを慈しむ幸恵を演じた。

映画で泣けたポイントを聞かれると、杏は美佐子の事故死でヤスとアキラが2人で生きていくことになるシーンだと即答。3児の母だけに「何度も泣いた。小さい子が一生懸命、現実を受け止めたい、みたいなところは、すごい心がグッとくるものがあった。父親は不器用だけど必死…というのが、親目線というか、こんなことを背負わなければ、いけなかったんだと、本当に心が苦しくなった」と語る言葉に熱がこもった。

大島も、やはり父子が2人で生きていくシーンだと明かした。「アキラのお母さまが亡くなられて、ちびアキラが『お母さんは…お母さん、どこ』っていうところ」と具体的にシーンを説明。自身も当該シーンの撮影に参加しており「シーン的には近所の人で見守っているんですけど、アキラの顔が少し遠く、声も届いてなくて。スクリーンで見てから、こんな無垢(むく)な表情でお父さんに問いかけていたんだというのを映画館で普通に見ていて、幸恵おばちゃんの気持ちに戻って涙してしまいました」と振り返った。

大島は、初日から父と祖母が映画を見たと明かした。「私の父と祖母も初日で朝イチで見に行ってくれた。感想、どうだった? と聞いたら祖母がずっと泣きっぱなしで感動していたと父から聞いて、瀬々さん、大丈夫だよと…勇気をもらいました」と、瀬々敬久監督に報告した。