旭川龍谷高に“情熱”を注入した。同校初の応援歌「雷鳴の如く 太陽の如く」を作詞作曲した「ヒャダイン」こと、ミュージシャンで音楽プロデューサーの前山田健一(41)が9日、同校で開かれた完成披露会にサプライズで登場した。ステージであいさつした後、質問に答えるなど生徒たちと交流を図り、エールを送った。

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突然の登場に、約600人の生徒たちが集まった旭川龍谷高体育館が沸いた。同校初となる応援歌の完成披露会に、作詞作曲したヒャダイン本人が登場。野球部の選手たちは思わず歓声を上げ、女子生徒たちは驚きを隠せない。そんな反応にヒャダインは焦った。「みんなキョトンとしていたので、私のことを知らないんじゃないかと思って、サプライズ失敗したかなと…。でも愉快な子が多くて楽しめました」とその後の会場は大盛り上がりとなった。

惜しむことなく、生徒たちへ熱いエネルギーを注ぎ込んだ。冒頭のあいさつで「人生の応援歌にしていただきたい。部活をやっている人も、やっていない人も、いろんな人たちの応援歌になるように」と思いを口にした。質問コーナーでは勢い余ってか、マイク片手にステージから駆け降り、たくさんの生徒と触れ合った。

応援歌制作のきっかけはサウナ好き仲間の、同校石田慶嗣理事長(47)の打診だった。理事長の依頼にヒャダインは快諾。生徒会が募集し集めた100個を超えるキーワードをもとに作詞作曲した。同校OBでもあるサウナ“熱波師”プレジャー田中の振り付けのもと応援歌は完成。過去夏の甲子園に6度出場し古豪復活を目指す野球部にとっても夏の大会へ大きな後押しとなった。成田琉之介主将(3年)は「力になるし、流れが絶対にくる気がする。甲子園目指して頑張ります」と気合を入れた。

歌詞には「燃えろ」「輝け」「涙の数を力に変えて」などのフレーズがちりばめられた。ヒャダインは同じ言葉を何度も口にした。「1番は『情熱』ですね。この曲を聴いて、『情熱』を燃やしていただきたい。青い炎のような『情熱』から、赤い炎に変わっていくそんなイメージでつくりました。ぜひこの『情熱』を感じ取ってほしい」。その思いを胸に生徒たちの活躍を祈る。【山崎純一】

<“お返し”37ユニ>

ヒャダインが旭川龍谷野球部からユニホームとタオルのプレゼントを受け取った。「サウナ」にちなみ背番号「37」が刻まれたユニホームに早速腕を通し、学校を出るまで着用しっぱなし。「うれしいです。素晴らしい着心地ですね。ストレッチ素材で肌にもやさしい。サウナ上がりに着ちゃおうかな」とおどけていた。

◆ヒャダイン/前山田健一(ひゃだいん/まえやまだ・けんいち)1980年(昭55)7月4日生まれ、大阪市出身。京大総合人間学部卒。07年から音楽活動を始めヒャダイン名義でニコニコ動画などに楽曲を投稿。12年4月にメジャーデビュー。本名での作家活動では、ももいろクローバー「行くぜっ!怪盗少女」(10年)の楽曲を手がけるほか、AKB48やSMAP、関ジャニ∞などにも提供。NHKの教育番組楽曲やアニメソングも制作する。BS朝日「サウナを愛でたい」レギュラー出演など、サウナ好きでも知られる。「ヒャダイン」は人気ゲーム「ドラゴンクエスト3、4」に登場した呪文から取ったもの。