今年12月25日付での退団を発表した宝塚歌劇団の雪組トップ娘役、朝月希和が14日、兵庫県宝塚市内で、退団会見に臨んだ。真っ白な衣装に「清く正しく美しく」の思いを込めたといい、「最後まで生徒として、真っ白な気持ちで学ばせていただきたい」と語った。

娘役としては近年異例の遅咲き、12年目での就任。花組、雪組、花組、雪組と異動で“2往復”という貴重な経験もあった。娘役13年の支えになった“金言”のひとつが、前トップ望海風斗からの「いつも心に太陽を」だったという。

「ここまで13年もあきらめずにこられたのは、皆さまへの感謝の気持ちがあったからです。どんなに遅くてもあきらめず、歩むのをやめずにこられました」

トップ娘役就任が伝えられた時、望海から「いつも心に太陽を」と言われ、その言葉でまた原点に帰れた。「あらためて、明るい気持ちで皆さまに舞台をお届けし続けたい」と意を新たにしたという。

朝月は10年入団。歌、芝居、ダンスともにバランスがとれ、3拍子そろった娘役として、新人公演などのヒロインも多数経験。男役をより魅力的に見せるように寄り添う、娘役芸も磨かれた。昨年4月、トップ彩風咲奈から相手娘役に迎えられ、同8月「CITY HUNTER」で本拠地お披露目。早期の抜てきが多い娘役としては、近年では14年目就任(トップ娘役)の渚あきに次ぐ“遅咲き”として、話題を呼んだ。

相手娘役に迎えてくれた彩風には、組替え時から世話になり「最後までお隣にいさせてもらえることが幸せ」と強く感謝。退団は、「CITY-」千秋楽後に決めたといい、「私はゴールを決めた方が、全力で駆け抜けていけると考えました」。彩風にも決意後に伝え「終わりが見えたからといって、妥協するのではなく、一緒に芸事に真摯(しんし)に取り組んでいこう」との言葉をもらった。

雪組メンバーには、3日前に伝え「私なんかのために、泣いてくださる方もいた」。組替えしてきた同期の人気スター和希そらとは、まだ本拠地1作の共演で「最後までよろしくと声をかけてもらいました」と明かした。

娘役13年を思い「常に前向きで明るく、太陽のような存在を目指していました」と言い、複数回の組替えも「とても大切で学びの場でした」。退団後については「今はまだ何も考えていない」とし、「残された宝塚人生、最後の日まで娘役として精進して、感謝の思いをお返しできるよう務めたいです」と誓った。

退団公演「蒼穹の昴」は10月1日に、宝塚大劇場で開幕。本拠地3作目の同東京宝塚劇場千秋楽をもって退団する。