公開中の仏映画「キャメラを止めるな!」に出演している、女優竹原芳子(62)と成田結美が26日、東京・池袋のシネマロサで舞台あいさつに出席した。

同作は18年に大ヒットした映画「カメラを止めるな!」を12年のアカデミー賞5部門受賞の映画「アーティスト」のミシェル・アザナヴィシウス監督(55)がリメーク。今年のカンヌ映画祭のオープニング作品にも選ばれた。竹原は日本版のオリジナルから、ただ1人だけ仏版にマダム・マツダとして出演している。

50歳の時に吉本興業の養成所、NSCに入所して芸能界入りした竹原は、この日は芸人時代に落語を演じた時の「天満亭どんぐり」として着物姿で登場。座布団に座って小話を披露した。「いつもは無理を言う方なのに、無理を言われて小話をやります」と、身ぶり手ぶりで映画の裏話を落語にして拍手を浴びた。

仕切り直して、再登場した竹原芳子は「何年ぶりかにやりましたが、久しぶりにやると緊張します。7年ぶりです。舞台あいさつで小話をさせていただいたのが初めてで、いい経験になりました」。

ここで、通訳役で出演した成田が登場。「フランスで10年近く活動しています。フランスの所属事務所からオーディションの情報が入り、オリジナルを初めて見ました。何ておもしろい映画だろうと衝撃を受けました」と振り返った。

竹原は「役だけじゃなく、スタッフとの打ち合わせも通訳してもらいました」。成田は「役作りはバッチリになりましたね(笑い)。カンヌ映画祭のオープニング作品に選ばれたこともあって、パリでも街中にちらしが張ってあって大人気でした」と話した。

元気の原動力を聞かれた竹原は「勢いでやっています。人生のキャメラを止めるな! 次の目標は、来たもの(作品)を目標にします」。

アザナヴィシウス監督の演出について、成田は「現場でアドリブでやることが多くて、勉強になりました。間違っても、それこそカメラを止めずに続けたり、小さなシーンを何回も撮り直したり、こだわりがすごかった」。竹原は「私は現場で『ボンジュール』と『メルシー・ボク』しか話してなかったけど、成田さんはウニュウニュって感じで(フランス語を)話していてかっこよかった」と笑顔を見せた。

竹原は「この作品を6回見たけど、今では完全なフランスの映画としてみられるようになって、自然と涙が流れている。『カメ止め』とは、また違った面白い映画になっている。できれば、回数を重ねて見ていただければ」と話した。

「カメラ-」は制作費300万円で6日間限定公開で始まり、ブームを巻き起こし社会現象となって動員220万人、興収31億円の大ヒットとなった、上田慎一郎監督(38)の作品。前半は37分間ノーカットでB級ホラーテイストのゾンビドラマを上映、後半は約1時間にわたり制作に関わる人たちをコメディータッチで描いた。竹原は「カメラ-」ではどんぐりの芸名でコテコテの関西弁のテレビプロデューサーを演じた。21年3月に芸名を本名と同じ竹原芳子にして、「キャメラ-」では原作の変更をかたくなに拒む日本のプロデューサー、マダム・マツダを演じた。

◆竹原芳子(たけはら・よしこ)1960年(昭35)2月10日、大阪生まれ。80年に短大を卒業して証券会社に。93年退社して派遣社員に。00年裁判所事務官に転職。10年NCS大阪入所。16年「劇団間座」で女優デビュー。趣味は山歩き。身長150センチ。血液型B。