昨年9月に84歳で亡くなった劇画家さいとう・たかをさんの「お別れの会」が29日午前11時から、東京・帝国ホテルで行われた。

祭壇はさいとうさんが好きだった野の花で飾られ、約600冊のコミックと約150冊の雑誌などが展示された。

会に先立ち、親交の深かった漫画家ちばてつやさん(83)、里中満智子さん(74)、秋本治さん(69)が記者会見を行った。

ちばさん 本当に漫画は子どもが読むものだったが、50年くらい前から「大人が楽しむ時代が来る」と先見の明があった。我々の先頭に立ってくれた。亡くなったことは残念です。三十数年、2カ月に1回とかゴルフをしていた。よく飛ばすし、パワーのあふれた人。長いパットを決める。決めた後「どうだ」という顔をする。すごくかわいい人でした。

里中さん 小学校のころから貸本屋でさいとう先生を読んでいた。それまでの少年漫画と違うと感じていた。すごく話しやすい大先輩で優しい方。漫画界全体のことを考えていた。感謝しています。優しくて、本質的にものごとを考える。優しい先生で、だれかの悪口は決して言わない。怒ったところをみたことがありません。

秋本さん 僕らの世代はさいとう先生が活躍されていたのは中学くらい。「これは何だろう」と衝撃を受けた。それまでみたこともない漫画でした。

-一番好きな作品は?

ちばさん 「サバイバル」。これからも時代をよんで作品。地味な作品だけど、覚えている。

里中さん 素晴らしい作品がたくさんあるが「太平記」です。(原作は)つかみどころがなくて、なかなか「これだ」というのがない。それが、さいとう先生の手にかかったら、こんなに面白い話だったのか。これぞプロの仕事だと。ようやく、あの世界が分かったという作品です。

秋本さん さいとう先生が得意にしていたのが時代劇。「無用ノ介」。一番円熟した作品で、今も月に1ぺんは読んでいます。