米配信サービス大手ネットフリックスと大型契約を結び、ドキュメンタリーシリーズを制作中のヘンリー王子(38)とメーガン妃(41)夫妻が、祖母である英国のエリザベス女王の死去を受けて番組の内容を修正するため、12月の公開を延期するよう求めていることが分かった。米ニューヨーク・ポスト紙によると、ネットフリックスは英王室を描いた人気ドラマ「ザ・クラウン」のシーズン5が11月に配信されるのに合わせ、夫妻のドキュメンタリーを12月にも配信したい考えだったが、来年後半まで配信が延期される可能性が出ているという。

2020年に王室を離脱して米カリフォルニア州に移住した夫妻は同年、ネットフリックスと複数年にわたる大型契約を結び、夫妻の日常に密着したドキュメンタリーの制作が進められていた。しかし、契約から2年が経過しても番組が完成しないことにネットフリックス側はいら立っていると伝えられており、ようやく配信となった段階で今度は夫妻が編集のやり直しを理由に来年まで公開延期を求めてきたと伝えている。

その理由にあげられているのは、夫妻の長男アーチー君(3)と長女リリベットちゃん(1)に「王子」と「王女」の称号を取らせるためだという。女王の死去によってチャールズ国王が即位したことで、孫である2人は慣例に従って称号を与えられる権利を得たものの、国王は夫妻のドキュメンタリーと年内に発売予定のヘンリー王子の回顧録の内容を吟味した上で称号を与えるか否か決めると複数の王室専門家は見ている。そのため、夫妻は批判的な内容を和らげ、事を荒立てないようにするため、確執が取り沙汰される父チャールズ国王やカミラ王妃、兄ウィリアム皇太子とキャサリン皇太子妃に関する描写を編集または削除することを希望しているという。

一方のヘンリー王子も11月末にも出版予定だった回顧録の一部書き直しを望んでいると言われ、来年以降に出版が延期されたと伝えられている。夫妻は、称号のために今は王室批判をトーンダウンし、チャールズ国王が納得する内容にすべきだと判断したものとみられる。しかし内部からは「番組をこのままお蔵入りさせたいのか?」と厳しい意見も出ており、夫妻と親しいネットフリックスのCEOテッド・サランドス氏はプレッシャーを感じていると伝えられている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)