米電気自動車大手テスラの最高経営責任者(CEO)イーロン・マスク氏が、ロシアのウクライナ侵攻を巡ってアンケート調査形式で独自の和平案をツイッターに投稿して猛烈な批判を浴びる中、ロシアのプーチン大統領と昨年ビデオ電話で会談したことを明かして炎上している。

ことの発端は、マスク氏が3日にロシアのウクライナ侵攻を終わらせるための案として、「(ロシアが一方的に併合を宣言したウクライナの4州に関し)国連の監視の下で選挙を行い、住民の意思が示されればロシアは立ち退く」「2014年にロシアが併合したクリミア半島を正式にロシア領と認める」「ウクライナが中立を保持する」「クリミアへの水源供給の確保」の4つを提案したことだった。しかし、これがロシア寄りだとしてウクライナ政府のみならず世界中から非難が殺到。アンケート調査に参加した270万人以上のおよそ6割がこの提案に「NO」を突き付けた。

そんなマスク氏に対し、ユーザーの一人が「プーチンと直接会って話したことはあるのか?」と質問し、「昨年、ビデオ会議を通じて話した」と同氏が回答した。いつ会談を行ったのかや、どちらからの提案で実現したのか、会談の内容などそれ以上の詳細については明かしていないが、これまでのウクライナ支持から一変して親ロ的な和平条件を投稿した直後だったことからネットは大荒れとなった。「(会談は)リクルートされた前?後?」「ツイッターを買収するための資金をロシアから得るため?」「マスクとプーチンはウクライナ侵攻前に秘密のビデオ会議を行っていた」と書き込むユーザーもおり、プーチン大統領と密談や買収があったのではないかと炎上している。

マスク氏はロシアがウクライナへ侵攻を始めた直後の今年2月には、衛星インターネットのスターリンクをウクライナに提供して支援し、プーチン大統領にはツイッター上で「ウクライナを賭けた」一騎打ちを持ちかけるなど宣戦布告を行っていた。ウクライナのゼレンスキー大統領は、「どっちのイーロン・マスクが好き?」とツイッターで応戦。「ウクライナを支持するマスク氏」「ロシアを支持するマスク氏」の2択アンケートを行い、78%がウクライナを支持していたマスク氏の方が良かったと回答している。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)