黒澤明監督の1952年(昭27)の映画「生きる」以降、全ての黒澤映画に記録、編集、制作助手として参加してきた、野上照代さん(95)が、東京国際映画祭から特別功労賞を授与された。車いすで登壇した野上さんは「ありがとうございます。きれいなお花もいただいて。何て言ったって95歳なもので…よく持ったものです」と喜んだ。
野上さんは、50年の「羅生門」にスクリプター(記録)として参加したことをきっかけに、黒澤組に参加し続けた。今年の東京国際映画祭では、世界の映画界に貢献した映画人、映画界の未来を託したい映画人に贈る「黒澤明賞」が、14年ぶりに復活。また、クロージング作品として「生きる」をリメイクした英国映画「生きる LIVING」が上映される。このタイミングで、長年に渡る映画界への貢献が評価され、特別功労賞が授与された。
野上さんは「映画というものは好きだし、映画という表現を続けてくれた、他の監督に感謝。映画ほどリアルで具体的で真実に迫る表現は(ないから)素晴らしい」と映画への愛を声を大にして訴え、降壇した。
◆野上照代(のがみ・てるよ)1927年(昭2)5月24日、東京都生まれ。出版社勤務の後、49年に大映京都撮影所にスクリプター見習いとして入社。50年に「復活」(野淵昶監督)でスクリプターとして一本立ちし、同年の「羅生門」以降、54年「七人の侍」、75年「デルス・ウザーラ」、85年「乱」など、51年の「白痴」を除く、全ての黒澤明監督作品に主要なスタッフとして参加。スクリプター、プロダクション・マネージャーなどを務めた。小泉堯史監督の00年「雨あがる」、02年「阿弥陀堂だより」では監督補を担当。84年には、自らの少女時代を描いた「父へのレクィエム」が読売ヒューマンドキュメンタリーの優秀賞を受賞。08年には同作を、山田洋次監督が「母べえ」として映画化した。その他、著書に「完本 天気待ち」、「とっておき映画の話 蜥蜴の尻っぽ」がある。



