22年7月に投資トラブルが発覚したTKO木本武宏(51)が23日、都内で会見を開き、一連の経緯を説明し謝罪した。

会見には、20年3月のパワハラ疑惑報道で、木本と同様、松竹芸能を退所した木下隆行(51)も登場。そろって謝罪し、3年ぶりとなるTKOの復活を宣言した。2人は会見後、日刊スポーツの独占取材に応じ、不祥事を起こした者同士、コンビ以前に中学時代からの友人でもあり、人として向き合っていくことを誓うとともに、「(批判を)超えるネタを作る」と覚悟を示した。

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木本が取材陣を前に1時間10分、説明と謝罪を繰り返した後、木下が登場すると笑いが起きた。木下の目には涙がにじんだ。1時間後、木下は「木本が真摯(しんし)に答える姿を見て、記者の皆さんも感じたものがあったと思う。だから僕が出て、ウワッとなった(盛り上がった)。コンビの強みを感じた」とかみしめるように語った。木本も「久々に2人、そろった瞬間、これ、これと思った感情…ずっと覚えておかな、あかん瞬間」と自らに言い聞かせるように言った。

木本の松竹芸能退所を知り、木下は「俺に何が出来る? 支えていくで」と、すぐに連絡した。「木本がかわいそう」。その一心だった。もともと中学の友人。90年に松竹芸能タレントスクールに入所し、92年にコンビを結成した当時の人と人との関係に戻った瞬間だった。木本は「2人で会う日はネタ作り…しんどい、だったのが今は、木下に会う日やと(うれしく)思う。結成した時の気持ちに戻った。いてくれることのありがたみ、大切さは日に日に増していった」と感謝した。

互いに不祥事で、愛する事務所を辞めた。「感じることは分かるようになったし、僕の感じたことも感じてくれている」(木下)関係になった2人の答えは「不祥事を、やってきたコントで超えていくしかない」。ただ1つだった。パワハラと投資トラブルで世間を騒がせた自分たちが復帰しても「笑えない」と批判が出ることも覚悟の上。木下は「コントという武器が我々にある。波を越える道は一択…コント」と語った。

俳優としても評価が高かった木下が芝居をコントに落とし込み、木本がMCで鍛えたしゃべくりでツッコむ、TKOの笑いは変えない。木下は「面白い若手がいっぱい出てきたからと、軸を変えたら、あかん。しなくていい経験をした、哀愁…味が出た、前に出来ないコントが出来ると考えたい」と方向性を口にした。

2月5日に大阪市内で行うライブで再始動する。20人程度の小規模な会場だが定期的にライブを開催する“どぶ板式”で地べたからはい上がる。木本は「楽して小手先の笑いを取りにいっているようにしか見えない。とにかくまっとうに勝負する」と、パワハラや投資などの自虐ネタ封印を宣言。そんな木本には、会見の姿勢に感銘を受けたと、早速講演の依頼も舞い込んでいるという。

木本は「ライブに出るためにネタ…代表作を作る。相方といるから乗り越えていける」と誓った。木下は「めちゃくちゃ格好悪いことを受け止めて、出せばええやん。こんな2人、いない。いい意味でオンリーワン。自分たちが本気で笑える、もの作りができるか…その一歩目が今日」と2人での再出発の覚悟を口にした。【村上幸将】

◆TKO2人の騒動の経緯 木下が19年秋、一部週刊誌で後輩芸人にペットボトルを投げ付けるなどのパワハラをしたと報じられ、20年3月15日に松竹芸能を退所。木本は木下の退所後、TKOの名を残してコンビ再開の方向を模索し「相方を戻すという思いで」(木本)と木下の同社復帰についても働き掛けをしていたが、昨年7月19日に一部で自身の投資トラブルが報じられ、同23日に同事務所を退所した。