サッカー元日本代表FWで解説者、指導者、タレントの武田修宏氏(55)が31日、自身が番組で最初のコーナーを持った故郷・静岡のDaiichi-TVのサッカー専門番組「KICK OFF(キックオフ)」の復活を喜んだ。

この日、Daiichi-TVは、4月から新番組「KICK OFF! SHIZUOKA」(日曜午後5時)を放送すると発表した。1986年(昭61)から14年まで28年、放送された伝説のサッカー専門番組「KICK OFF(キックオフ)」が、9年ぶりに復活しての新番組。Jリーグが同日に発表した、全国各地域の各放送局と連携し、30地域(45都道府県)でサッカー番組を拡大放送する、初の試みの一環となる。

実は、武田氏と「KICK OFF」との間には深い縁がある。同氏は、清水東高1年時の1984年(昭59)に出場した第62回全国高校サッカー選手権で、チームは決勝で帝京(東京)に敗れ準優勝だったものの、自らは5得点を決めて得点王に輝いた。3年時は静岡県大会で敗れたため、選手権出場はならなかったが、卒業した翌86年に静岡第一テレビ(現Daiichi-TV)に入社。同社の東京支社から出向する形で、日本サッカーリーグ1部の読売サッカークラブに入団した。その年に、静岡で初のサッカー専門番組として、静岡第一テレビ放送がスタートしたのが「KICK OFF」だった。

武田氏は同局の東京支社で働き、小田急線でよみうりランドの練習場まで通っていたが、日曜朝の15分番組だった同番組内に「武田君日記」というコーナーを持った。「当時はプロのない時代で、高校サッカーが全盛期だった。僕もすごく人気があり、最初のコーナーを持ったんだ。中高生は、番組を見てから試合や練習に行っていたもの。番組の最後には、必ず『キックオフ!』って言っていたね」と振り返った。

「武田君日記」に台本はなく、読売クラブの選手らとフリートークをしていたという。武田氏は「選手を直撃しては、2人で30分くらい話す。本当に難しく、大変な番組だったよ」と笑った。

それから、37年。55歳になった武田氏は、Jリーグのキャンプが行われる沖縄に自腹で向かい、J1コンサドーレ札幌を中心に各クラブのキャンプを視察。解説者、指導者として研さんを積んだ。選手権で準優勝した当時、3年生だった“清水東三羽がらす”の1人で先輩の、長谷川健太監督(57)が率いる名古屋グランパスのキャンプにも足を運んだ。

そして、帰京した中、1度は終わった「KICK OFF」が9年の時を経て復活するとの一報を目にした。武田氏は「大学に行かず、社会人になって読売クラブのルーキーとしてプレーしていた頃のことを思い出した。その当時、レギュラーでコーナーを持っていた『KICK OFF』だから思い出も深い。復活はうれしいし、懐かしく思うよ」と、喜びもひとしおの様子だった。【村上幸将】