山田裕貴(32)が7日、東京・TOHOシネマズ日比谷で行われたアニメ映画「BLUE GIANT」(立川譲監督、17日公開)完成披露舞台あいさつに登壇。「プロの声優の方が良いんじゃないかと思う自分もいたり…でも、やった意味は絶対にある」と、原作漫画の大ファンでありながら声優を務め、背負った思いとともに、やり切った思いを胸を張って語った。一方で、演じた主人公との共通点を聞かれると、18歳で俳優になろうと上京したことを挙げ、アルバイトをしていた際、ネームプレートに「俳優王に、俺はなる」と書いていたと明かした。

「BLUE GIANT」は、13年に石塚真一氏が漫画誌「ビッグコミック」(小学館)で連載を開始した同名漫画を初めて映像化。山田は、ジャズに魅了され、テナーサックスを始めた仙台の高校生・宮本大を演じた。「原作は、この(声優の)お話が決まるから読んでいた。アニメの話、音楽の映画、自分が声を担当する…いろいろな思いがある」と感慨深げに語った。

山田が演じる大が卒業を機にジャズのため上京し、訪れたライブハウスで出会う、同世代のすご腕ピアニスト・沢辺雪祈を演じた間宮祥太朗(29)は「難しいだろうと思ったけれど、分かんないところだらけ」と、アフレコの率直な感想を語った。その上で「体感型の、本編の熱がお客さんに伝わるような映画。その熱を体感して欲しい」と客席に呼びかけた。

上京した大が転がり込んだアパートに住む高校の同級生で、大に感化されてドラムを始めた玉田俊二を演じた、岡山天音(28)は劇場映画の声優に初挑戦。原作ファンだけに「僕自身、お話をいただく前から原作のファンで大にエネルギーをもらっていた。ファンの方々が愛を深めていただく、きっかけになって欲しい。大のエネルギー、取り巻くキャラクターの生きざまを感じ取ってもらえたら。(声優は)恥ずかしいです」と照れた。

山田、間宮、岡山が演じた3人は“JASS”を結成し、日本最高のジャズクラブ「So Blue」に出演し、日本のジャズシーンを変えることを目標に掲げる。山田は、大役のオファーを受けた当時の思いを聞かれ「実写だったら、メチャクチャうまい人が(演奏を)やりながらお芝居して、はある。アニメなら、なるほどと。(演じるのは)大です…えっ、マジっすか? そうっすか、と」と振り返った。その上で「(3人を演じる)他の2人が気になり…大丈夫、と思った。同じ俳優として戦っている身として、そうなった気持ち、このアニメに挑戦する気持ちは一緒だと安心した」と、間宮と岡山への絶対的な信頼を口にした。

間宮は演じた沢辺について「玉田に下手くそと言えるのが好き…初対面の人間には言えない。優しさと厳しさの表裏一体が好き。大と玉田の人間関係に劣等感を感じる…哀愁もあり好きですね」と評した。岡山は「同い年での男同士の3人。どういうキャラでいるかは意識した。お調子者、はねたイメージはある。泥くさく生きていて人物像が魅力。格好悪いって、格好いいなと思わせてくれるキャラクター」と演じた玉田への愛着を口にした。

山田は、主人公の大と同じ19歳当時の思い出を聞かれると「18歳で名古屋から上京し、お芝居の学校に行った。それ1つに毎日、追われていましたね」と懐かしそうに語った。「バイトもしていたんですけど…ネームプレートに『俳優王に、俺はなる』と書いていて。(大と)違うのは、ものすごい、なまけ者なので書いていないとやらない。怖いから、言って自分に課していた」と振り返った。