安藤サクラ(37)が、「ある男」で最優秀助演女優賞を受賞した。

第39回の「百円の恋」、第42回「万引き家族」に続く、3度目の受賞ながら「ありがとうございます。お話しさせていただいた時、あまりにも自分が…あぁ泣いちゃう。辞めようと思っていたことが、こんな形でバラされると思ってなくて…自分が情けなくて」と涙した。

涙の裏には、撮影中、引退を口にしたことを主演の妻夫木聡(42)に“暴露”されたことがあった。受賞前に、有村架純(30=「月の満ち欠け」)尾野真千子(41=「ハケンアニメ!」)清野菜名(28=「ある男」「キングダム2 遥かなる大地へ」)永野芽郁(23=「母性」)松本穂香(26=「“それ”がいる森」)を交えた、優秀助演女優賞受賞者トークが行われた。

その中で、妻夫木がステージ下から「撮影していた、ある日『私は女優に向いていないと思うの。私、この作品で女優を引退しようと思っています』っていきなり言われた。これが引退作になってしまう…重大な現場に居合わせてしまった。恥じないように引退作にするよう頑張っていた」と、安藤から“引退告白”され、驚いたと明かした、。撮影後、安藤の夫の柄本佑(36)に会って、様子を確認した際「(妻は)普通に映画の撮影、してますよ」と言われ、あっけにとられたと笑った。

安藤は「途中から現場が好きだと改めて思って、変わっていったけれど、この現場がなかったら作品に関われないままの時間を過ごしたかも知れない」と翻意したと振り返った。妻夫木は「佑に聞かなかったら、俺、ずっと引退するもんだと思っていた」と笑った。

安藤は「子育てと映画の撮影を、どうしてもうまく両立できないと感じていて…それもうまく出来なくて現場もうまく出来ないんだったら、良くないのかなと思ったんですけど」と、子育てと仕事の両立に悩んでいたと明かした。「万引き家族」以来、4年ぶりの映画の撮影で「緊張したし、苦しかった。ずっと、クヨクヨしていた」という。

最優秀助演男優賞を受賞した窪田正孝(34)からは山梨での撮影中、1日だけ休みが出来た際に「子どもに会いに行く」と特急列車に乗って長女に会いに行ったことを“暴露”された。安藤は「監督の求めるものを出せなくて。コロナ禍で休業中で、宿に従業員の方も他に泊まっている方もいない、真っ暗な旅館で1人」とクランクイン当時を振り返った。そして「駅前のコンビニに行って…ドンドン、寂しくなったら電車に乗って、家族で鍋、食べてホッコリした気持ちで戻った。私は追い込んで出来なかった」と笑みを浮かべた。

前段に、そうしたトークがあったため「格好悪いなと思って檀上を降りたので、受賞させていただいた混乱で涙が出た」という。安藤は「この(『ある男』の)現場の最中に、やっぱり、この現場が好き。出来る、できないを超えて、撮影の皆さんの中にいるのが、何よりも好きなんだと真っすぐに思えて。自分が出来なくて…叱られてはないですけど、押しつぶされそうになっても、死ぬわけじゃないし、現場が好きなのはクヨクヨも超える…そんなのは他に見つけられないなとハッキリ思えた。また現場に今は迎えている」と強調した。

一方で「やっぱり、子育てと撮影は、今のところ、うまくできない。それは多分、撮影のシステム的なこともあるんだと思う。それは私には、どうしたらいいか分からない。その都度、家族で会議しながら、みんなで協力し合って、また大好きな現場に戻れたらいいなと思います」と語った。

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