歌手生活54年目を迎える歌手松前ひろ子(73)が10日、都内で、新曲「居酒屋 夢あかり」の発売イベントを行った。夫婦2人で苦労して営んできた店を、夫亡き後も1人で切り盛りする女性の姿を描いた作品。おしどり夫婦として知られた松前が、亡き夫で作曲家の中村典正氏との関係をつづった楽曲でもある。

松前の左手にはつえがあった。「新曲発売はうれしく、ありがたいのですが、つえをつく自分が情けない」と涙ぐみながらあいさつした。

松前は21年に、右足に人工股関節を埋め込む変形性股関節症の手術を受けている。その時から、腰椎のすべり症と診断されていて、痛みをこらえながら仕事を続けていたという。

先月、弟子の三山ひろし(42)が大阪・新歌舞伎座で座長公演を行うにあたり、所属事務所の社長として現地に向かった。舞台のリハーサルの中での移動の際に、約30センチの段差を踏み外してしまったという。「平らだと思って左足を出したら落ちてしまいました。右足は、2年前の股関節の手術で力が入らなかった。肩と膝を打ちました。顔だけは守ったってことですね」と笑顔で振り返る。

痛みがそれほどでもなかったため、そのまま社長としての仕事をこなしていた。27日に帰京し、病院で診察を受けたところ、手術を勧められたという。「先生から、仕事も大事だろうけど、それよりも体が大事だと言われました。もう手術しかありませんと。腰椎に肋骨(ろっこつ)を移植する手術を受けることになりました」。7月2日まで、新曲のキャンペーンを行い、同3日に都内の病院に4週間ほど入院し、手術を受ける。

27日に診察を受けた後、すぐにNHKの歌番組の収録に向かった。最初は順調に歌っていたものの、2番に入ったところ、ふらつき撮り直しになったという。「申し訳ないのですが、つえを持って歌わせてもらうことにしました。でも、スタッフの皆さんが、つえを持つ方の励みになるからと言っていただいて。その後の、歌番組には、ずっとつえを持たせていただいております」。

この日も、つえをついての歌唱となった。松前は「新曲が出たのに何もしないというのは申し訳ない。つえをついての姿で皆さんをお迎えして、今日は泣いちゃダメ、泣いちゃダメって自分に言い聞かせました。悔しさと恥ずかしさと、それでも新曲で頑張りたいという希望が入り交じっていますが、これだけの皆さんが集まってくれてありがたいなと思ったらもう胸がいっぱいになりました」と話した。

いとこの北島三郎(86)も心配しているという。「手術をすれば歩けると報告したら、ひろ子、気を付けて頑張れ。俺の歌じゃないけど頑張れ」と応援してくれているという。

来年は55周年の記念イヤーとなる。「全国ツアーを行いたいと思います。三山くんと一緒に全国を回りたい」と抱負を語った。