佐藤浩市(62)が19日、東京・イイノホールで行われた主演映画「春に散る」(瀬々敬久監督、8月25日)完成披露試写会が出席し、ダブル主演の横浜流星(26)が6月12日に日本ボクシングコミッション(JBC)のC級(4回戦)プロテストに合格したことについて、撮影中「本人にその気にさせた」と振り返った。
また、横浜演じるボクサーと、窪田正孝(34)演じる世界王者が戦うボクシングシーンで、2人の動きが速すぎて瀬々敬久監督(63)がカットをかけられず「死んじゃうんだよ」と監修者から激怒されたと明かした。
「春に散る」は、ボクシングに造詣が深いことで知られる作家・沢木耕太郎氏の同名小説の映画化作品。佐藤は、不公平な判定で負け、米国へ渡り40年ぶりに帰国した元ボクサー広岡仁一を、横浜は同じように不公平な判定で負けて心が折れ、1度はボクシングを辞めていたが、居酒屋で仁一と殴り合い、初めてKOされて教えを請う黒木翔吾を演じた。
横浜は役作りのために、21年4月から元日本ウエルター級王者・加山利治氏が会長を務める、EBISU K's BOXで練習し、加山氏のワタナベジム時代の後輩でプロボクシング元WBAスーパーフェザー級王者の内山高志氏(43)からも指導を受けた。
横浜は、司会からプロテスト合格を祝福されると「ありがとうございます」と笑みを浮かべた。続く形で、佐藤が「どこまで言って良いか分からないけれど、撮影中、やってみたら? と本人を、その気にさせた。受験するとは思わなかったし、よっしゃあと思った」と振り返ると、横浜は「良かったです」と笑った。
横浜はボクサーを演じるにあたり、自分自身がプロボクサーになる必要があったという思いが強く、宣伝活動が本格始動するこの段階で、プロテストの受験を決意し、見事にライセンスを取得した。また横浜演じる翔吾が、仁一に教えを請うて、ともに世界王者を目指す中、対戦相手に浮上する世界チャンピオン中西利男を演じた窪田正孝(34)も、鍛錬を続けた。
佐藤も「流星君とか窪田君が撮影のずいぶん前からトレーニングし、僕もお邪魔してミット打ちの練習をしていた。響き的に柔らかく聞こえるけど、固い。引いたらダメだから、きつい。この男のパンチが思い。アイコンタクトでできるようになっていくのが楽しかった」と、横浜の強烈なパンチをミットで受けた感想を語った。
「春に散る」のボクシング指導・監修は、俳優兼トレーナーで14年「百円の恋」、17年「あゝ、荒野」、21年「BLUE/ブルー」、22年「ケイコ 目を澄ませて」など近年、高評価を得た映画でボクシング指導をした、松浦慎一郎(40)が担当。ボクシングアドバイザーには名門・帝拳ジムの田中繊大トレーナーと内山高志氏が名を連ねた。横浜は、11年の極真空手第7回国際青少年空手道選手権大会13・14歳男子55キロの部で優勝し、世界一になっただけに「内山さんにミットを持っていただいた。ぜいたくですよ。プロの方、チャンピオンですから。無駄にしないと…。自分も格闘家を目指していたので、敬意は絶対に持たなくてはいけない。失礼がないようにと。松浦さんには『今までにないボクシングシーンにしてください』とプレッシャーをかけ、自分にもプレッシャーをかけた」と振り返った。
そうして作り上げたボクシングシーンの中でも、横浜が演じた翔吾と窪田が演じた中西利男の試合は、吹き替えなしで俳優自らが演じたボクシングシーンとしては近年、まれに見るリアルなものとなった。瀬々監督は「今も思い出しますが、ファーストカットが、あまりに動きが速くて、僕はカットをかけられなかった。そうしたら、松浦君が激怒して『カット、カット…このままだと死んじゃうんだよ!!』と。2人は続けるんですよ」と横浜と窪田との“死闘”を振り返った。横浜が「続けるしかないですもんね」と苦笑すると、同監督は「すみませんでした」と“公開謝罪”した。
佐藤は「12月30日まで試合のシーンを撮っていた。役者同士としても役の上でも、2人が負けたくない…どれだけ自分が真剣なのかを前のめりになっているのが1シーン、1シーン映る。セコンドとして見ていて伝わった」と横浜と窪田を絶賛。仁一が所属したジムの会長真田令子役の山口智子(58)も「輝きが本物」と、うなった。仁一のめい佳菜子役の橋本環奈(24)も「近寄れないくらいの気迫、緊張感に圧倒されました」と振り返った。
この日、登壇予定だった窪田は体調不良のため欠席した。



