漫画家の井上雄彦氏(56)が自らの原作を映画化し初めて監督を務めたアニメ映画「THE FIRST SLAM DUNK」が、石原裕次郎賞に輝いた。国内興行収入(興収)157億3000万円、中国や韓国など全世界興収は390億円に達する記録的ヒットとなり、井上監督は新人賞も受賞。石原裕次郎賞には300万円が贈られる。
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2023年は、くしくも日本のバスケットボール界にとって歴史的な1年になった。男子はW杯で過去最多の3勝をあげ、来夏のパリ五輪出場を自力でつかんだ。W杯を沖縄で現地観戦していたという井上氏は「五輪出場を決める試合(カーボベルデ戦)に勝って、終わって、わーってなって。沖縄の音楽が流れた後に(映画主題歌の)『第ゼロ感』が流れて。…これは何なんだろう!? って。ピョンピョン跳ねながら、ちょっと鳥肌立ちました」と興奮気味に振り返った。
漫画「SLAM DUNK」単行本9巻の冒頭に「日本チームの五輪出場が見たい。『スラムダンクを読んでバスケを始めた』という子どもたちが、大きくなってやってくれたら…オレは泣くぞ」という作者コメントがあり、ファンの間でも話題となった。井上氏は「ねえ、本当ですよね…」と感慨にふけりつつ、「まあ実際は泣いてなくて、満面の笑みでしたけどね。わーわー言ってました。ハハハ」と笑った。
「SLAM DUNK」は90年から96年に「週刊少年ジャンプ」で連載され、コミックス累計1億2000万部以上の国民的ヒット漫画だ。競技人口や人気にも大きく貢献しバスケ界に与えた影響は計り知れないが、自身は「いやいや、そんなことないですよ。努力してやってる人たちがたくさんいますから」と謙遜した。「プレーヤーの山が裾野と頂上にあると思って。今、頂上が結果を出して、そうなると裾野も広がる。日本のバスケはものすごくいい流れに入った気がします」とほほ笑んだ。
今作の大ヒットを受けて、宮城リョータ以外のキャラクターを主人公に据えた別映画の製作や、「リアル」「バガボンド」など井上氏の別の作品の映画化を期待する声もあがっているが…。「映画化ですか!? 映画化の前に、(バガボンドは)連載を再開しろって話ですよね(笑い)」と答えた。「リアル」は連載再開しているが「めちゃくちゃ掲載のペースは遅くて、そこはすいませんって感じです…」と苦笑した。
パリ五輪に向けて日本のバスケ熱はさらに上昇する。今後のバスケへの関わり方は。「やっぱり漫画が自分の仕事なので。とりあえずは『リアル』と『バガボンド』をやりたいですね、今は。パリ五輪、みんなで応援したいですね。本当に楽しみですよ。…当たり前か。ハハハ」。漫画家として、いちファンとして。バスケに思いをはせる瞳の輝きは純粋そのものだ。【横山慧】
◆井上雄彦(いのうえ・たけひこ)1967年(昭42)1月12日、鹿児島県生まれ。88年に第35回手塚賞入選作「楓パープル」で漫画家デビュー。98年に「モーニング」(講談社)で「バガボンド」、99年には「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で車いすバスケットボールを題材にした「リアル」の連載を開始。06年に「スラムダンク奨学金」を創設。
◆「THE FIRST SLAM DUNK」 沖縄で生まれ育った湘北のポイントガード・宮城リョータは、地元で有名な選手だった3つ上の兄の背中を追うようにバスケにのめりこむ。高校2年生になり桜木、流川、赤木、三井たちとインターハイ王者、山王工業に挑もうとしていた。
▼石原裕次郎賞・選考経過 「監督って全体を見て俳優や声優区別なく、スタッフを見て作ると考えるのが裕次郎さん。今回は中国や海外でも人気になった」(河内利江子氏)。国内外でのヒットが認められ、第1回投票で「ゴジラ-1.0」に競り勝ち過半数獲得。
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昨年「キングダム2 遥かなる大地へ」で石原裕次郎賞を受賞した佐藤信介監督(53) 何年に1度観られるかどうかの革新的な作品に、観客の誰もが驚かされ、原作のファンばかりでなく、昨今、映画というものにやや停滞感を感じていた映画ファンも、この作品によって覚醒しました。画、動き、音という映像の力の融合が、近年見たことのない新たなエンターテインメントの形で結実していました。絵を描き続けてこられた井上雄彦監督が、その実、動きと音を描き続けられていたことを改めて教えられました。日本から世界を変える興奮を生み出したこの作品は、同時に、この賞の理念に理想的な作品だったと思います。このたびは、受賞、本当におめでとうございます。
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昨年「PLAN 75」「冬薔薇」「ある男」「女子高生に殺されたい」で新人賞を受賞した河合優実(23) 井上雄彦さん、このたびはご受賞おめでとうございます。2000年生まれの私にとっても、中学のバスケ部時代、スラムダンクは必読書でした。世代を超えて愛され続ける作品を自ら監督されたこの映画が、また新たな形で日本中に熱をもたらしたこと、ほんとうに素晴らしいことだなと感じています。謹んで、お祝い申し上げます。
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コロナも落ち着き、上映を待っていた沢山の作品の中で、第36回石原裕次郎賞を受賞した、「THE FIRST SLAM DUNK」は、中国、韓国でも「スラダン」旋風を巻き起こしたそうです。監督の井上雄彦さんは新人賞も受賞されました。人気漫画とは言え、時を経てあえて映画化に臨んだ監督、関係者の方々の気概を、「諦めてはいけない」と言う信念を作品から十分に感じ取る事が出来た素晴らしい作品です。
最後になりましたが、受賞者の皆さまのさらなるご活躍、映画界のさらなる発展をお祈りいたします。
石原音楽出版社 取締役名誉会長 石原まき子



