日本映画製作者連盟(映連)は30日、都内で2024年新年記者発表会を開いた。席上で、東宝の松岡宏泰社長(57)が「ゴジラ-1.0」(山崎貴監督)の米国での大ヒットを元に、邦画が海外で成功するために必要なことは何かを語った。
「ゴジラ-1.0」は、邦画実写史上最大規模となる2308館(うちラージフォーマット750館)で、23年12月1日から北米で公開。同3日までの週末3日間(のオープニング興収(先行上映含む)で興行収入(興収)約1100万ドル(約16億円)を記録し、ハリウッド大作や大ヒットアニメーション映画を抑え、全米の週末興収ランキングで3位にランクイン。北米で23年に公開した外国映画(非英語作品)としても第1位のオープニングとなった。同4日にはハリウッド大作を抑えて全米デイリーランキングで興収1位となり、同5日には1436万ドル(約21億円)を突破し、北米で89年公開の映画「子猫物語」が記録した1329万ドル(いずれもComscore調べ)を34年ぶりに更新。邦画実写映画として歴代1位となった。
「ゴジラ-1.0」は製作・配給の東宝が創業91年で初めて自社で北米で配給したことも1つの挑戦だった。松岡氏は「米国で(興収)5500万ドルを超えました。日本映画でくくると、ポケモンの最初の映画の8574万ドルの続く2位。自社配給した作品で、北米でこれだけ大きな数字を出せたのは自信。日本の実写は、まだまだ海外でいけるんだと業界の方に思っていただけると幸い」と笑みを浮かべた。
質疑応答で成功の要因を聞かれると、松岡氏は「最初から分かっていました、と言いたいが、ここまでヒットするとは誰も思っていなかった」と率直な印象を語った。その上で、米国で大ヒットした要因を挙げた。
<1>映画が非常に良かった。見た北米の関係者から本当にたくさんの称賛を得た。
<2>「ゴジラ」は「世界で一番長く続くフランチャイズ映画」としてギネス記録に認定されるなど認知度が高い。
<3>全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)が43年ぶりに行ったストライキの影響で、北米に対抗馬がいなかったのではないか。
<4>1954年(昭29)の初代「ゴジラ」(本多猪四郎監督)の公開日の「ゴジラの日」11月3日に、米国で数年前から旧作の特別上映をしてきた。ファンがどれだけおり、興収がどれだけに上るか把握していた。
<5>16、17年頃に、映連会長でもある東宝・島谷能成会長の指示で、ゴジラの商品化権を数年前に買い戻し、全世界で東宝がゴジラの権利を持っている。
松岡氏は「ゴジラファンがどこにいて、どういう風に宣伝すれば良いか把握していたのはメリット。スタートしてから、いろいろ考えたら、こういうのが良かったんだというのがあった。正直、ビギナーズラックもあっただろう」と振り返った。その上で「経験、知識が高まり、次もこういうチャレンジができるようになればなということを考えると、素晴らしい」と振り返った。
非英語かつハリウッド大作と比較して俳優の知名度も劣る邦画の実写映画が、海外で成功する大きな実例を作った。もっといける手応え、手がかりがあったか? と聞かれると、松岡氏は「非英語はハンディだ、世界の人々はハリウッド映画しか見ないんだ、というのとは違う感触は持っている」と口にした。その上で「今回は字幕オンリーでやった。5年前であれば『字幕は読まない。吹き替えでやらないと無理。おっくうだ』と言われたが、これだけの数字を出した」と強調した。
字幕が読まれるようになった要因については「配信をへて、字幕で映像を見る違和感が圧倒的に下がっている。データにも出ている。米国で作られた英語でのもの(作品)でなくても、いいものは見られる」と分析。「配信の中では韓国ドラマが強いと言われるが、統計を見ると、それほど遜色ない形で、アニメ中心だが日本のコンテンツは鑑賞されている。障壁、ハードルもずいぶん低くなっている」と説明した。そして「我々も最初から海外ロケや、実写そのものが厳しいんじゃないかと思った。それが今回、こういうやり方もあるんだという感触を得た。やれば出来るんだという気持ちが業界の中に生まれ、チャレンジが積み重ねれば、恐らく日本の実写も世界で活躍する日が来るのではないか?」と期待した。



