集英社文芸編集部は24日、公式サイトで、同社が発行するアートミステリー「青の純度」(篠田節子氏著)に関する書評について、声明を発表した。同作をめぐっては、アーティスト原田裕規氏が、自身名義のアカウントで、自身の著書に記された内容が登場するにもかかわらず、参考文献に入れられていないと指摘しているが、集英社側は「独自に取材した内容」とし、主張が食い違っている。

原田氏は、バブル期に日本で高い人気となった画家クリスチャン・ラッセンの研究で知られる。今回、原田氏名義のXアカウントでは、「青の純度」について、「本書にはラッセンをモデルとする『マリンアートの巨匠』が登場し、ぼくがラッセン本の中で述べてきた内容が繰り返し登場します」と指摘。さらに、公式サイトや通信社を通じて配信した同作の書評で原田氏は、「青の純度」の主人公ヴァレーズら登場人物について「一読しただけで明らかなように、ヴァレーズのモデルは実在する画家クリスチャン・ラッセンであり、『その作品を商法と切り離して再評価する書籍を著そうとする人物』には、同様の企図のもとラッセンを再評価する書籍を何冊も著してきたぼく(原田裕規)の立ち位置が重ねられます」とした。その上で、作品や参考文献リストから「拙著にまつわる情報が周到に排除されていました」と主張した。

一方、集英社は「弊社刊『青の純度』(篠田節子著)において、フィルムアート社刊『ラッセンとは何だったのか?』(原田裕規編著)を参考文献リストに入れていないことについてのご指摘を受けております」と報告した上で「結論から申し上げますと、著者は取材過程において当該書籍および原田氏の他の著作を読んでおらず、『青の純度』は独自に取材した内容をもとに執筆されました。したがいまして、本書の参考文献に当該書籍等は入れておりません」と主張した。

集英社は「本件に関し、原田氏が直接弊社に問い合わせをされず、『書評』という形をとって一方的にご意見を表明されたことに対して大変遺憾に思っておりましたところ、当該書籍の発行であるフィルムアート社からの問い合わせがありました。弊社としましては、まず原田氏ご本人へ直接ご説明をすることが最優先であると判断し、フィルムアート社を通じて、『青の純度』の取材過程および執筆などの詳細を時系列とともにまとめ、原田氏に対し説明をいたしました。経緯説明の文書は、10月22日にフィルムアート社にお渡ししています」と説明。「それゆえ、ご本人以外からの取材依頼に対しては、これまで回答をしておりませんでした。しかしながら、現在、SNS上におきまして事実とは全く異なる風評が広まってしまっているということから、ここに読者の皆様にも経緯をお知らせする次第です。最後になりますが、SNS上にて、憶測をもとに事実確認もしないまま、作家に対し『剽窃』などと断じる行為に対しては断固抗議いたします」と説明した。

この集英社の対応に対し、原田氏のアカウントでは「集英社から経緯説明のお知らせが出ました。先日集英社から送付された説明(前ポスト参照)と同じく、到底受け入れられず、誠意の感じられない内容に感じました」と再反論。後日、あらためてコメントするとした。