元マネジャー女性らへの2件の暴行罪に問われたタレントの「デヴィ夫人」こと、本名デヴィ・スカルノ被告(86)の公判が8日、東京地裁で開かれ、検察側は罰金20万円を求刑した。起訴状によると、被告は昨年2月13日夜に東京・渋谷区の飲食店で、秘書だった女性にシャンパングラスやおしぼりなどを投げつけ、同10月28日夜には同区の動物病院で、マネジャーだった別の女性を殴る蹴るなどしたとされる。
デヴィ夫人は、上下とも紫がかった服に、薄紫色の15センチほどのハイヒールをコーディネートしながらも、イヤリングやネックレスなどは一切身に着けずに法廷に現れた。着席すると傍聴席などを見渡しながら、わずかに笑みを浮かべる様子も。その中、冒頭で求められて証言台のいすに座ろうとした。裁判官に「立った状態で大丈夫です」と、3度繰り返し言われ、ようやく立ったまま話し始め「全面的に認めておりません。シャンパングラスは投げておりません。それと殴る蹴るは一切しておりません」と、暴行の一部について否認した。
シャンパングラスは被害者に命中しなかったものの、検察側は証拠として提出した割れたシャンパングラスの写真については、被告の弁護人が「疑義がある」として、裁判所に対して慎重な判断を求めた。また同弁護人は6月の初公判に続き、予定していたテレビやイベントへの出演、公演などのキャンセルが相次ぎ、違約金も発生し、総額で約9000万円もの損失が出たため、社会的制裁を受けたと主張。「短絡的であるとのそしりがあることは免れませんが、過度に反応してしまったものであり、衝動的で計画性もない」や「被告に前科はありません。顕著な犯罪傾向があるとはいえません」として「罰金刑が相当であると思います」と述べた。
最後に求められ、冒頭に続いて2度目の証言台に立った。表情は平静を努めたが、証言台に置かれたスタンドマイクを力強く握り締めて持ち上げ、裁判官から「(マイクは)そのままで」と制される場面もあった。その後、インドネシアのスカルノ元大統領の夫人だった被告は、マイクから手を離してゆっくりと「私は戦争、クーデター、暴動などを経験してまいりました。そして日本は昭和、平成、令和と変わりました。日本人も変わりました。この場にいることが不思議でなりません。しかし、これは私の不徳の致すところであると反省しております。どうぞ裁判所におかれましては、慎重なご判断をお願いします」と語った。その後、ほどなくして一礼して退廷した。判決は10月6日に言い渡される。



