コンペティション部門に出品された映画「男ともだち」(三島有紀子監督、6日公開)の成田凌(32)が、最優秀男優賞を受賞した。日本人俳優の同賞受賞は、24年の第37回に「敵」で受賞した長塚京三(81)以来2年ぶり。

成田は、18年度に日本アカデミー賞新人俳優賞、翌19年度に日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞 石原裕次郎新人賞、キネマ旬報ベスト・テン助演男優賞、21年度にはブルーリボン賞助演男優賞などを受賞してきた。24年の第37回東京国際映画祭では「コンペティション部門」に主演映画「雨の中の慾情」(片山慎三監督)が出品されたが、その際は受賞を逃していた。

「男ともだち」は直木賞作家・千早茜氏の著作初の映画化作品。成田は、主演の松岡茉優(31)が演じた、描きたいものを見失った京都在住29歳のイラストレーター神名を出会った頃から深く理解し、7年ぶりに再会する大学時代の先輩ハセオを演じた。劇中の設定通り、成田と松岡も19年のフジテレビ系ドラマ「磯野家の人々~20年後のサザエさん~」で、松岡がワカメ、成田がタラオを演じて以来、7年ぶりの共演だった。

三島有紀子(57)は、16年に「少女」、17年に「幼な子われらに生まれ」が、JAPAN NOW部門で上映されるなど、東京国際映画祭とは縁が深い。松岡は初タッグだが、成田は18年「ビブリア古書堂の事件手帖」以来の同監督とのタッグだった。

この日、成田は登壇せず、代わって三島監督が受賞した。同監督は「この光景を、成田凌さんに見せたいですね、本当に。おめでとうございます。東京国際映画祭の皆さん、良さを見つけてくださって、ありがとうございます」と喜びをあらわにした。

審査員の渡辺真起子(58)の「沈黙の中に、身体性の中に、言葉の裏に感情を根ざすことのできる俳優」という高評を引き合いに、三島監督は「彼を信頼していましたし、戦友として豊かにしてくれた」と成田に感謝。「(成田が演じた)男ともだちが(主人公を)ずっと見る行為を続けます。彼は現場も、監督の私のことも、ずっと見ていました」と撮影を振り返った上で、1つのエピソードを明かした。

「どうしても雪が降って欲しい日に、全然降らなくて、空を見上げて『雪、降らないかな』と言ったら『雪、降れ』と言ってくれて雪が降ったんです」

三島監督は「現場を豊かにしてくれて、ありがとうございます」と、成田に重ねて感謝した。

◆「男ともだち」 神名(松岡茉優)は、数年前に絵本で賞を取り脚光を浴びるも、最近はむちゃなクライアントワークに神経をすり減らし、惰性と不毛な恋愛に逃げる日々を送っていた。出会った頃から、なぜか深く理解をしてくれる“男ともだち”ハセオ(成田凌)からの思いがけない電話をきっかけに、7年ぶりに再会。甘く、苦く、ひりひりとした2人の時間が動き出す。愛していないはず、だけど失いたくない…あの頃も今も変わらない温度で接してくれるハセオと過ごす“3つの夜”が、神名の人生を大きく変えていく。