押井守監督(63)が11日夜、東京・新宿ピカデリーで行われた自身の総監督作品「THE

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 第4章」上映記念トークイベント「第4回

 マモルの部屋」で、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサー(66)に、ジブリの今後について直撃した。

 押井総監督はまず、「聞きたいことは、ただ1つしかない。ジブリ、どうするつもりなの?」と質問。宮崎駿監督(73)が昨年9月、長編アニメーションからの引退を発表し、現在公開中の最新作「思い出のマーニー」(米林宏昌監督)以降の動向が注目される中、その真意を問うた形だが、鈴木プロデューサーが「パトレイバーの話、するんでしょ?」とかわそうとした。すると、押井監督は「そんな話、聞いてない。どうするも、こうするも、リストラも必要だろうけど、リストラしたいから、こうするの?」と、スタジオジブリがアニメーターをリストラしていると暴露した。

 対して、鈴木プロデューサーは「本当の理由は、何を作るかが難しい。何を作るか、誰が作るか…これだよね。機が熟せば(新作を)またやってみたい」と吐露した。その上で「日本だけで作品を作るのが、アニメも難しくなってきた。スタッフが、どうもアジア…タイに優秀な人がいっぱい出てきている。(米国のスタジオ)ピクサーで修行を終えて、国に帰るとスタジオを作る。世界でアニメの映画を見ると、アジアがグランプリを取っている」と、アジア諸国のスタッフを起用していく可能性を示唆した。

 押井監督はさらに「ジブリをどうするか聞いてるの!」と追及。鈴木プロデューサーが「続けるしかない」と答えると、「誰作るの?」と質問を重ねた。鈴木プロデューサーは「知らないよ」とタジタジになった。

 それでも、押井監督は追及の手を止めず、「おたくのアニメーター、(押井監督が所属のプロダクション)IGじゃ受けないよ」「(アニメーターを)全員、クビにするの?」。鈴木プロデューサーは「全員はしないから」と答えたが、「半分にするの?」との問いには「まだ、ひどい…」と明言を避けた。

 押井監督は、宮崎監督についても「仕事がなくなって、監督でなくなるのが自然。自分からやめるなんて傲慢(ごうまん)。宮さんがやめると言ったら(映画を共同で製作する)日本テレビの株が下がると思って引退会見をやったんでしょ」と批判した。鈴木プロデューサーは「ウソじゃない。(宮崎監督自ら)会見を開きたいと言ったの」と反論したが、「誰も信じてない。(中略)断言するけど、来年にはコチョコチョ始めるに決まってる辞める気、ないんでしょ?」と宮崎監督の復活を予想した。一方、鈴木プロデューサーは「宮さんがうまいこと言うと思ったのは、『自分は今まで手も口も出してきた。でも、口だけ出して作りたい』と言ってる」と、宮崎監督の最近の発言を明かした。

 押井監督は、8月26日に都内で行われた第27回東京国際映画祭記者会見の席上で、鈴木プロデューサーが「新世紀エヴァンゲリオン」などで知られる庵野秀明監督(54)を、宮崎監督の後継者と発言した件についても疑問を呈した。

 鈴木プロデューサーが、ジブリと庵野監督の会社・カラーとのコラボを否定したことを前提に「ウソだ。後継者というのは宮さんの席に、ジブリに来て座るということ」と厳しく指摘した。鈴木プロデューサーは「ウソじゃない。庵野自身、宮さんの弟子だと公言している。お互い、師であり弟子であると認め合っている」と答えたが。司会者が、押井監督が後継者になる可能性はなかったか聞くと、「年齢的な問題があるし、押井さんはライバルだと言っている」と答えたが、押井監督は「ライバルじゃない。敵だ!!」と一蹴した。

 一方で押井監督は、庵野監督が84年「風の谷のナウシカ」で巨神兵を描いたことを引き合いに、「多分さ、庵野が『ナウシカ2』をやるのが一番正しい。それだったら出来るから。ドロドロで、すさまじいヤツを作れば、いろいろなものが全部終わり納得するはずだし、30年くらいたったら全て収まる」とも提案。鈴木プロデューサーは「俺もそう思う」と同意した。