テレビ朝日系「日曜洋画劇場」(日曜午後9時)の45周年企画で、映画評論家の故淀川長治さん(享年89)の解説が流されることが14日、分かった。45周年企画は10月9日にスタートし、最初は4週連続で「ダイ・ハード」シリーズを放送。淀川さんは同シリーズで2作品の解説を務めており、その映像を冒頭にオンエアする。また、オーランド・ブルーム(34)らハリウッドスターから祝福メッセージも寄せられる。

 “ヨドチョー”さんの名解説がよみがえる。淀川さんは66年10月1日に放送された「日曜洋画劇場」(当時は土曜洋画劇場)の第1回「裸足の伯爵夫人」から解説を担当。98年11月に亡くなるまで、32年間にわたって出演を続けた。

 テレビ朝日では「日曜洋画劇場」の45周年企画として、「ダイ・ハード」シリーズを4週連続で放送することを決定。最初(10月9日)の「ダイ・ハード」と翌週の「ダイ・ハード2」で、冒頭に淀川さんの過去の解説をオンエアする。

 水谷圭プロデューサーは「45年を振り返ったときに、やはり番組の顔は淀川さんしかいないと思いました。オールドファンには懐かしく、淀川さんを知らない若い世代にも興味深く見ていただけるのではないでしょうか」と話した。

 ちなみに、90年10月7日に放送された「ダイ・ハード」の解説で淀川さんは「ブルース・ウィリスという主役の男、人気出てきました。ご覧になったら、本当に映画って面白いなぁと、お思いになるでしょ」など軽妙な“淀川節”で語っている。今回復活する解説は映画の前の「前説」だけで、「前説」と「後説」の完全版は番組HPで無料配信される。おなじみの「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」だけを番組の最後に流すプランも検討中という。

 45周年企画は10月から来年9月まで行われ、今後さまざまな企画が登場する。45年間で放送した映画は2249本。その中でキックオフ作品に「ダイ・ハード」シリーズを選んだことについて、水谷プロデューサーは「『ダイ・ハード』は初回放送で29・0%の視聴率を取った、僕らにとっては特別な作品。今も高い人気があります。大きな企画のスタートには最適だと思いました」と言う。シリーズを4作連続で放送するのは「日曜洋画劇場」が初めてとなる。

 45周年を記念して、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのオーランド・ブルーム、「バイオハザード」シリーズのミラ・ジョボビッチらから寄せられた祝福メッセージも放送される。また、番組のオープニングも45周年期間限定でバージョンアップ。名優たちの声を担当してきた人気声優たちが参加したスペシャルバージョンが登場する。

 ◆日曜洋画劇場

 66年10月1日、「土曜洋画劇場」としてスタート。日本初の劇場用映画放送番組だった。第1回のハンフリー・ボガート、エバ・ガードナー主演「裸足の伯爵夫人」は視聴率14・9%をマークした。67年4月9日放送から放送枠を日曜に移動。83年10月9日に放送した「スーパーマン」が32・1%の最高視聴率を記録、この数字は今も破られていない。アーノルド・シュワルツェネッガーの「ターミネーター」など、テレビから数多くの人気作品も生まれた。00年代は韓国映画「シュリ」「シルミド」などが高視聴率を獲得、アジア映画ブームに一役買った。

 ◆淀川長治(よどがわ・ながはる)1909年(明42)4月10日、神戸市生まれ。「映画之友」編集長などを務める。NET(現テレビ朝日)の「ララミー牧場」の解説で人気となり、「日曜洋画劇場」の解説に起用された。おなじみの「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」は、イタリア映画の別れのシーンから考えたアドリブだったという。98年11月11日、心不全のため死去。