<第17回日刊スポーツドラマグランプリ受賞者発表>

 「第17回日刊スポーツドラマグランプリ」作品賞は、TBS系「半沢直樹」が受賞した。最終回の視聴率は42・2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で、ドラマでは今世紀最高数字を記録。「倍返しだ!」の決めぜりふも含め、社会現象にまでなった。

 今世紀最高の視聴率42・2%を記録した「半沢直樹」が、作品賞に輝いた。ヒットの要因を聞くと、伊与田英徳プロデューサー(46)は「分からない。逆に教えてほしいです」と謙遜したが、ミラクルな数字を生んだ背景を紹介した。まずは、ドラマを作る上でのこだわりだ。

 「例えば料理を作る時、食べる人に合わせて作るのではなく、俺はこれが一番おいしいと思う。それを食ってくれと作る。まず自分が面白いと思うのが一番。最初の視聴者は私だから」

 面白い原作に出会い、堺の主演もはまったが、原作者池井戸潤氏にドラマ化の相談をした時からミラクルは始まっていた。伊与田氏の頭の中では堺の主演と決めていたが、「普段はキャストの話をしない池井戸さんが自ら『半沢にピッタリなのは堺さんかな』と言ったんです。驚きました」。ロケで雨は全く降らず、台風も進路を変えたという。

 撮影現場も普通ではなかった。

 「カメラが向いていない方でも俳優が熱心に演技をしていて、カメラが振り向いてしまうかと心配しました。まるで舞台です」。

 続編の話には「白紙です。できたらいいとは思いますが」と語ったが、多くの視聴者がミラクルの再現を期待している。【中野由喜】

 ◆「半沢直樹」

 直木賞作家池井戸潤氏の小説「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」が原作。13年7~9月放送。型破りな銀行マン、半沢直樹(堺雅人)が、金融庁の黒崎(片岡愛之助)や、大和田常務(香川照之)ら銀行内外の敵に立ち向かう。大阪が舞台の1~5話では、半沢が5億円の不良債権回収に奔走し、支店長らと戦った。東京が舞台になる6話からは、120億円もの損失が出ることが分かった老舗ホテルの経営再建などを任された。

 ◆伊与田英徳(いよだ・ひでのり)1967年(昭42)5月6日、愛知県生まれ。東京理科大卒業後、制作会社を経て98年にTBS入社。主なプロデュース作品は09年「MR.BRAIN」、10年「新参者」、11年「南極大陸」のほか、現在放送中の「ルーズヴェルト・ゲーム」など。趣味は演劇鑑賞。血液型A。

 ◆ドラマグランプリ

 3月20日から28日まで日刊スポーツのホームページ「ニッカンスポーツ・コム」やスマートフォンサイト「ニッカンエンタメ・プレミアム」、携帯サイト「ニッカン芸能!」と宅配読者の携帯会員サイト「ニッカンポイントクラブ」などで昨年4月から今年3月までに放送された連続ドラマを対象に「主演女優賞」「主演男優賞」「助演女優賞」「助演男優賞」「作品賞」を選ぶアンケートを実施。各期(4、7、10、1月)ごとのベスト5、各部門計20人(作品)を候補とした。投票総数は2154票。男性が727票、女性が1427票。10代以下が45票、20代101票、30代263票、40代823票、50代655票、60代以上が267票だった。