★冷戦時代の米ロ関係とは違い、中米首脳会談は新たな世界の支配構造の形を変えようとしている。14日、北京で始まった中米首脳会談の冒頭、中・習近平国家主席は「トランプ大統領においては9年ぶりの訪中であり、我々の会談を世界が注目している」「世界は新たな岐路に立っている」「中国とアメリカは新しい大国関係のモデルを切りひらくことができるだろうか」「両国は協力すればともに利益があり争えば傷つく」と強気の発言で米国に呼びかけた。

★米ドナルド・トランプ大統領は秋に中間選挙を控えるものの支持率の低下にあえぎ、イラン戦争をどう終結するか、外交ではなく都合の良い交渉と、得になる商売を重ねてやりくりしてきたが、中国はイランの原油輸出の8割を占める。中国に対して外交と商売の交渉で勝てるかどうかはわからないが、この会談はお互いがいい方向にまとめたいことが前提だ。中国の国営新華社通信によれば、習は台湾問題にも切り込み「適切に対処すれば中米関係は全体的な安定を維持できるが、適切に対処しなければ、両国は衝突に至り関係全体を極めて危険な状況に向かわせることになる」と牽制(けんせい)というよりも強い警告を発した。また「台湾問題は中米関係の中で最も重要な問題」「台湾海峡の平和と安定を守ることは、中米間の最大公約数だ」とまで踏み込んだ。

★この発言の中には首相・高市早苗の昨年11月の衆院予算委員会での「戦艦を使って、そして武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考えます」という台湾有事発言の強い不快感が包括されていると見るべきで、今の米国は受け止めないわけにはいかないだろう。トランプは「困難な時期でも我々はうまくやってきた」「問題が生じる度に、私があなたに電話し、あなたが私に電話し我々はすぐに解決してきた」と猛烈な良好アピールで応じた。米国にガツンと言われて日本は急きょ謝罪の低姿勢外交に転じられるか。高市はその選択ができるほど政治家としてこなれてはいまい。中国も観光旅行自粛、農水産物の輸入禁止の延長、レアアース輸出規制程度で収めていたが、中米共闘して日本をけん制する場合もあるということだ。新しいフェーズ、新秩序の入り口が始まったか。(K)※敬称略