国内大手5銀行は29日、4月に適用する住宅ローン金利を発表した。日銀がマイナス金利政策の解除を決めたものの利上げ幅が小さかったこともあり、三菱UFJ銀行など4行は変動金利を据え置き、三井住友信託銀行は引き下げた。4月に変動金利で住宅ローンを借りる人の負担増は回避されるが、日銀が今後、追加利上げに動けば変動金利が上がる可能性がある。

変動金利は、銀行が業績の良い企業に貸し出す際の金利「短期プライムレート(短プラ)」に一定の金利を上乗せし、そこから個人の信用力に応じて優遇幅を差し引く。信用力が高い人ほど金利が低くなる。

日銀の政策金利は短プラに影響を与えるが、マイナス金利解除による政策金利の引き上げ幅は0・1%と小幅で、各行は短プラを据え置いている。その結果、4月の変動金利を引き上げる大手行はなかった。

変動金利を据え置いた4行の最優遇金利は、りそな銀行が0・340%、三菱UFJ銀が0・345%、みずほ銀行が0・375%、三井住友銀行が0・475%。

5行で変動金利を唯一引き下げた三井住友信託銀の最優遇金利は前月よりも0・075%低い0・330%。広報担当者は「若年層との取引を増やすため、戦略的に引き下げた」と話した。

一方、固定金利は長期金利に連動する。10年固定の最優遇金利は3行が据え置き、三菱UFJ銀が0・980%、みずほ銀が1・400%、りそな銀が1・640%とした。三井住友信託銀は0・075%低い1・225%に引き下げ、三井住友銀は0・250%高い1・390%に引き上げる。同行は「固定金利の引き上げとマイナス金利解除に関連はない」と説明している。(共同)