スウェーデン・アカデミーは5日、今年のノーベル文学賞を長崎市生まれの英国人作家カズオ・イシグロ氏(62)に授与すると発表した。

 村上春樹氏(68)は今年も受賞を逃した。村上氏が近くでジャズ喫茶を営んだことがある、東京・千駄ケ谷の鳩森八幡神社ではパブリックビューイングが行われ、「ハルキスト」と呼ばれるファンら約200人が集まった。受賞者が日系のイシグロ氏と決まると、困惑の声が広がった。このイベントを運営した斎藤祐(たすく)さん(72=書店経営)は、「複雑だけど、日本の血を引いた人だから我慢します」と話した。

 村上氏の母校兵庫県立神戸高校(神戸市灘区)では、同窓会幹部や在校生徒らが同窓会館に集合した。受賞を逃すと「あ~」と大きなため息が漏れた。村上氏が所属していた新聞委員会の同期で、神戸親和女子大の矢野日出子教授(68)は「なんで取れないのかな…」と落胆した。母校の西宮市立香櫨園(こうろえん)小学校でも、同窓生や学校職員らが集まったが、がっくりと肩を落とした。