安倍晋三首相(自民党総裁)は7日、千葉県のJR柏駅前で街頭演説した。

 7月の東京都議選のアキバ演説で、聴衆から激しいヤジや「辞めろコール」が出たことを踏まえ、ここ2日間、遊説場所を事前告知しない「ステルス遊説」続ける首相。この日も党側の公表はなかったが、駅前には約1000人の聴衆が集まり、「安倍総理を支持します」「お前が国難だ」など、正反対の意見が書かれたプラカードを持った聴衆が混在。険悪な空気も生まれ、一時、騒然とした雰囲気に包まれた。

 聴衆の最後部から「安倍辞めろ」とヤジが飛ぶ中、演説を行った首相だが、都議選の「教訓」からヤジには反応せず、演説に集中。「今回は大変大変厳しい選挙だ。是非、力を与えてください。私はけして負けません!。歩みを止めるわけにいきません」と訴えた。

 また、民進党が、希望の党や立憲民主党に割れて衆院選を戦う経緯を念頭に、「自民党は09年衆院選で政権を失ったが、野党時代の3年3カ月、私たちは消して右往左往しなかった」「党名を変えたり、離合集散したり、当選のためにどこかに党を移ったりしなかった」と指摘。野党の混乱を批判した。

 「この選挙で問われているのは、だれに、どんな政党に、日本の未来を託すのかだ」とも述べ、政権選択選挙で首相指名候補を示せない小池百合子代表率いる希望の党を、当てこする場面もあった。

 この日、主催側は、首相に批判的なヤジが飛ぶことを、強く警戒。演説前には「『激励』のヤジは最後の方で、拍手をお願いします。演説中は、真剣な思いや視線で、弁士を激励してほしい」と、異例の呼びかけをするひと幕もあった。