成人の日の8日、着物の着付けやレンタルを行う業者「はれのひ」(本社・横浜市)と契約した新成人から、「店に誰もいない」「店と連絡が取れない」などといった相談が神奈川県警などに相次いだ。

 「はれのひ」八王子店も、8日朝から連絡が取れなくなった。同店で晴れ着を購入した新成人の女性(20)は着付けのために店に行ったが、閉まっていたという。

 女性は「着物は事前の写真撮影の日に、祖母に見せたくて持ち帰っていた。ただ、着付けとセットができず、祖母の友人に急きょお願いして、ギリギリで成人式に間に合いました」。業者については「買った着物を預けた方もいたと思う。ガッカリしていると思います」と困惑した様子で話した。最寄りの交番に被害額などを届けたという。

 警視庁八王子署によるとこの日、100人程度が近くの交番に相談に訪れた。

 一方で、混乱の中、八王子市内の呉服店や美容院では手助けの動きが広がった。歌手松任谷由実の実家で、1912年(大元)創業の「荒井呉服店」には、午前6時の開店時に新成人女性が親子で「頼んだ店と連絡が取れない。今から何とかなりますか」と来店したという。対応した石毛立介専務(39)は「尋常じゃない状態と分かったので、レンタルで対応させていただきました」と話す。

 同呉服店も成人式のこの日は朝から予約でいっぱいだったが、その合間を縫って“飛び込み”来店した複数の新成人に対応。石毛専務は「私たちはお嬢さんと親御さんが、一生に1度のこの日のために準備する大変さを知っています。うちだけでなく、八王子の他のお店も同様にお手伝いをされたようです」と話していた。【清水優】