藤井聡太棋聖(竜王・名人・王位・棋王・王将=23)への挑戦者を決める将棋のヒューリック杯第97期棋聖戦挑戦者決定戦、羽生善治九段(55)対服部慎一郎七段(26)が1日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた。午前10時から始まった対局は先手の羽生が手厚い指し回しで圧倒したかに思えたが、最後の最後で詰めを誤った。服部に大逆転を許し、悔しい敗退となった。服部はうれしいタイトル戦初挑戦となった。
右斜め上をわずかに見上げた。羽生が投了を告げる。2023年の王将戦以来のタイトル獲得100期への挑戦が、藤井との黄金カード再戦が、手の届くところまで来ていながら遠のいた。最後は詰み筋があった。持ち時間4時間のうち、残り1分未満で指さなければいけない「1分将棋」に追い込まれた。正しい手順が読めないのか、髪の毛をかきむしる。形勢は一気にひっくり返った。
「いやぁ、詰んでたんですね。ひどかったですね。ずっと分からなかったですね。王手をかけられて、どっちに逃げればいいかと分からないまま指していた。(詰め手順に)気づかなかったですね」と振り返った。
雁木(がんぎ)に構えた服部に対し、中盤から抜け出し、リードを保っていた。文字どおり、将棋に勝って、勝負に負けた。。
「なんかずっと難しい気がしていました。終始、駒を使ったところから終盤まで、ずっときわどい局面が続いていた気がします。1分将棋の前、応接を間違えたような気がします」としぼり出した。
3年前の王将戦7番勝負で藤井に2勝4敗で敗れた後、タイトル戦から遠ざかっていた。23年の王位戦、一昨年と昨年の王座戦と、いずれも挑戦者決定戦で敗れている。今回も同じだった。
85年12月に棋士になって40年が経過した。それでもまだまだタイトル争いの先頭集団にいる。昨年6月には日本将棋連盟の会長を退き、「プレーヤーに専念する」と宣言した。
「やっぱり細かいところでの精度を上げていかなくてはいけないという課題が残りました。1局1局の積み重ねなんで、これからも変わらずやっていきます」。将棋界トップ、タイトル獲得通算99期(内訳は竜王7、名人9、王位18、王座24、棋聖16、棋王13、王将12)のレジェンドは、まだまだ挑み続ける。

