森友学園への国有地売却に関する財務省の文書改ざん問題をめぐり、佐川宣寿・前国税庁長官(60)の証人喚問が27日午後2時、衆院の予算委員会で行われた。

 佐川氏は、元通産官僚の無所属の会・江田憲司氏から、安倍首相や昭恵夫人の関与はないと繰り返して答弁したことについて「私も官僚だったから分かるが、官僚答弁は逃げ道をつくる。断言、言い切り答弁は、あなたの判断? 資料に書いてある?」と疑惑の目を向けられたが、最後まで口は割らなかった。

 質問の冒頭で、江田氏は「もう、この問題は自分が責めを負っていこうという覚悟を感じる。あなたの美学かもしれないが、国民の理解を得られないことははっきり申したい」と佐川氏に呼び掛けた。さらに河村建夫委員長にも「具体的な犯罪の構成要件事実、密接関連事項以外で(証言を)拒否されるなら、委員長の差配をお願いしたい」と依頼した上で、佐川氏に「証言拒否罪も念頭に置きご答弁いただきたい。改ざん問題について一切関わっていないと断言した。あなたが関わっていると自白しているのと同じだ」と追及した。佐川氏は「国有財産の個別の案件で、理財局の中で現場の声も聞きながら完結する。他の部局に相談する話でもないし、官邸などの指示があれば私のところに報告が来る」と従来の主張を繰り返した。

 それに対し、江田氏は「あなたが関与していないなら部外者だし(改ざんは)密室で行うもの。なぜ『私が知る限りない』と言わず、何で『全てない』と言えるのか。あなたが関与した証拠ではないか?」と追及した。佐川氏は「官邸から(働きかけや情報が)入った時、局長に情報を上げないと局長が知らなかったのか? ということになりますよね。官邸、大臣からあれば上がってくる」と、ここでも証人喚問で繰り返した主張を重ねた。

 江田氏が「あなたが関わっていないなら(情報などは)上がらないじゃないですか? あなたは断言、言い切り答弁が多い」と突っ込むと、佐川氏は「私の答弁が良くないということであったら、丁寧さを欠いたということならおわびしたい。不当な働きかけは一切ない、政治的な圧力はないと聞いている。答弁そのものが丁寧さを書いた」と、安倍首相や官邸、与党自民党らからの圧力はないと重ねて主張した。

 江田氏から、17年の国会答弁について「あなたの判断、政治家の判断?」と聞かれると「理財局として記録を見ながらやっている。不当な働き掛けはなかったと、部局内からきちんと聞いて答弁した」と繰り返した。

 さらに江田氏からは「元々の答弁では、不当な働き掛けはないが、政治家の問い合わせがあったという答弁を伺った。不当な答弁はなかったが問い合わせがあったと書けば逃げ道はある。どなたから、責任を逃れようとする政治家の関与があったのでは?」と追及の手が伸びた。佐川氏は「昨年の答弁に、不当な働きかけはない。問い合わせは、さまざまあったが不当な働き掛けはない」と繰り返した。

 佐川氏は、この日の答弁の中で、森友学園との取引は個別案件だから契約交渉などは理財局が全て主体になって行い、官邸や政府、与党の関与がないことを、何度も繰り返して主張していた。そのことに関して、江田氏から「理財局限り…というのはウソでしょ。官房長官に上がる」と疑問を呈されると、佐川氏は「国会担当部局から官房に上がるという手続き論はあるが、それは実務。官房に相談するというのはない」と答えた。

 江田氏は「政権を揺るがす問題で次官、大臣まで上がる案件…信じられない」と首をかしげた。