元医師で宇宙飛行士の古川聡さん(54)が6日、都内で行われた「交響楽団はやぶさ」の演奏会に出席し、特別講演を行った。同楽団は全国の医療系大学の学生を中心に編成され、楽団名は日本の小惑星探査機「はやぶさ」が由来。宇宙と医療の2つの関係から、公演が実現した。古川さんは、学生と観客に約半年間の国際宇宙ステーション(ISS)での経験を語った。

 宇宙滞在中は自らが被験者となり、無重力空間での骨量や筋肉の低下などを研究。現在は宇宙での健康維持方法や、健康長寿に貢献するための研究を続ける。来場者の少年から「宇宙旅行ができる時代は来るのか」と質問されると、「早ければ数年以内。君たちが大きくなるころには、卒業旅行が宇宙になるかもしれない」。今後の目標については「宇宙でも人を守れるように、宇宙医学をさらに発展させる。チャンスがあればもう1度宇宙に行きたい」と意気込んだ。

 ◆古川聡(ふるかわ・さとし)1964年(昭39)、横浜市生まれ。89年東大医学部卒業。同大付属病院の外科医を経て、11年6月から国際宇宙ステーションに165日間滞在。JAXA宇宙医学生物学グループ長。