旧民主党政権で官房長官を務め、今年10月11日、肺がんのため72歳で死去した仙谷由人氏のお別れの会が30日、都内のホテルで営まれ、与野党の国会議員や官僚、メディア関係者ら約1000人が参列した。

仙谷氏は菅政権で官房長官を務めた。菅直人元首相は「私が政権に就いた時、最も耳の痛いことを言ってくれる人にそばにいてほしいと思った。仙谷さんこそ、しっかり支えていただけると思った」と明かし、「波乱の期間だったが、十二分に応えていただいた。(官房長官を退任したが)東日本大震災や原発事故の後で、あえて官房副長官で戻っていただき、やらなくてはならないことをしっかりやっていただいた。名残は尽きない」としのんだ。

大島理森衆院議長は「将来や人間を見抜く力があった。(仙谷氏が)引退してもなお、語り合った。戦後世代の政治家として何を残せばいいか、教えていただきたかった」と、遺影に語りかけた。

立憲民主党の枝野幸男代表は、2010年の参院選で敗北し、当時就いていた民主党幹事長の職を「今日にも辞めさせてほしい」と言った際、仙谷氏に「権力への執着が足りない。自分から権力を手放すようではだめだ」と、厳しく叱責(しっせき)された思い出を明かし、「その後の私の進路を決めたひとことだった」と振り返った。最後には「親分、早すぎます」と、涙声で言葉を詰まらせた。

国民民主党の玉木雄一郎代表は「仙谷氏に勧められて、私はこの世界に入った。仙谷氏がいなければ、この世界に入っていなかった。本当のリーダーだった」と述べた。

民進党は昨年の衆院選を機に立民、国民新、衆院会派「無所属の会」などに割れたが、この日は野田佳彦前首相、前原誠司元外相、岡田克也元外相ら、旧民主党政権を支えた議員も顔をそろえた。また、山下貴司法相や自民党の石破茂元幹事長、田中真紀子元外相、亀井静香元衆院議員らも参列、与野党を超えた仙谷氏の人脈を示した。