将棋の藤井聡太七段(16)が4日、都内で行われた新人王戦表彰式で異例のスピード出世をした1年に飽き足らず「さらなる飛躍」を誓った。5月の竜王戦ランキング戦で決勝に進出し、プロ入りから1年7カ月で七段に昇段。その時点で、参加条件の六段以下を上回ったため最後の新人王戦となった中、森内俊之九段の17歳0カ月の記録を31年ぶりに更新する16歳2カ月で優勝。それでも、タイトルには「まだまだ足りない」と貪欲な姿勢を見せた。

藤井は、羽生善治竜王、佐藤天彦名人ら将棋界を代表する面々に続いての優勝に「優勝という形で卒業できることをうれしく思います。トップ棋士への登竜門といわれる棋戦。さらなる飛躍ができるよう日々、向上したい」と自らに言い聞かせるように言った。

17年3月に初参戦した際は四段で、2月の朝日杯準決勝で羽生竜王を撃破するなどして優勝し、史上最年少の15歳6カ月で六段に昇段するまでは参加条件を満たしていたが、5月に七段に昇段し新人王戦の参加条件を超えてしまった。日本将棋連盟の佐藤康光会長は「本人も最後とは思っていなかったのではないか? 予期せぬ卒業。この1年の活躍が、いかに華々しいか」と舌を巻き、師匠の杉本昌隆七段(50)も「将棋界も激動の1年も藤井七段の活躍がある」とたたえた。

そんな飛躍の1年にも、藤井は満足していなかった。トップ棋士との対局も増え「自分の及ばない部分、課題を改めて確認できた」という。1日には第4期叡王戦本戦トーナメント1回戦、羽生竜王-菅井竜也七段戦の解説者を初めて務めて話題となったが、「自分の読みも照らし合わせて、勉強になることも多かった」と解説者デビューの機会さえ学びの場にした。「経験を生かして次の棋戦、1年につなげたい」。藤井に満足の2文字はない。