2020年東京五輪の聖火リレーの出発地が、福島県のJヴィレッジ(楢葉・広野町)に決定した。開幕500日前となる12日、大会組織委員会の森喜朗会長(81)が発表した。

3月26日にスタートする聖火リレーに先立ち、東日本大震災の東北被災3県で聖火を事前展示する「復興の火」の詳細な計画も発表した。ちょうど1年後の3月12日にギリシャで採火された聖火は同20日、宮城県東松島市にある航空自衛隊松島基地に到着。同日、震災関連死を含めた死者・行方不明者が3900人以上に上った同県石巻市の「石巻南浜津波復興祈年後援」に移動する。同21日はJR仙台駅東口エリアで展示する。

同22日は岩手県に行き、宮古-釜石駅間を三陸鉄道に乗せて移動。さらに釜石-花巻駅間をJR東日本の「SL銀河」に乗せる。組織委の担当者によると、3駅以外にも聖火を降車させて展示する案も検討中といい、列車移動中の車内展示も現在、調整中だという。同23日には同県大船渡市の「キャッセン大船渡」エリアで展示する。

同24日には福島県に移動し、JR福島駅東口に、同25日には、いわき市「アクアマリンパーク」を回る。そして翌26日、トーチを持って走者が走る聖火リレーがJヴィレッジから始まる。

Jヴィレッジはサッカー施設として97年に開業したが、震災後は東京電力福島第1原発事故の対応拠点として活用された。昨年7月には対応拠点の役目を終え、主要施設の営業を再開。来月には全面オープンする。

森会長は「復興を世界に伝える事も大事だが、今も大変な苦労をされている方、家に帰れない方に勇気、希望を持ってもらう応援メッセージにもなれば。五輪はお祭りだが浮かれた気持ちばかりではダメだ。鎮魂の思いなどを一番大事に、苦労されている方々も喜んでもらえるような聖火リレーにしていきたい」と厳粛に語った。

聖火リレーは移動日を含め121日間で47都道府県を回り、20年7月24日、開会式が行われる新国立競技場(新宿区)に到着する。