令和“発祥の地”福岡県太宰府市は改元2日目の2日も沸いた。引用元となった「万葉集」の「梅花の歌」32首の序文を詠んだ、大伴旅人の邸宅跡とされる坂本八幡宮は、約1万5000人が殺到した1日に続き参拝客が列をつくった。一方で、参拝の証しの御朱印がインターネットオークションに出品され、氏子会が控えるよう呼び掛けるなど思わぬ波紋を呼んでいる。

坂本八幡宮は、1日の参拝客が20人程度の小さな神社で、宮司も常駐せず太宰府天満宮から派遣されているなどの事情から、御朱印は授与してこなかった。それが一躍、脚光を浴びたことを受け、5月1日午前0時から授与を始めた。御朱印帳などを持ってきた参拝客に宮司が手書きする、もしくは書き置きしたものを配る形で対応し、初穂料は一律500円、1人1枚の条件だった。

その御朱印を求め、4月30日夜から8時間待ちする参拝客が現れ、2日も書き置きの御朱印2000枚が午後2時半でなくなるなど争奪戦が展開される中、一部が大手のヤフーオークションに出品された。改元当日1日に1500円で出品された御朱印は、2日午後5時時点で入札は11件あり9250円。同じく1日の日付入りで10万円で出品されたものに入札はなかった。2日付の御朱印も4300円で出品されていた。

氏子会の木原一臣会長(79)は「氏子会が定期的に掃除し、傾いた参道を直し、境内の照明やベンチ、お年寄りのための手すりを設置するなど大切に守ってきた。ほぼ無人の神社に100倍以上も参拝客が訪れビックリ」と喜ぶ一方で「御朱印を出品しないでくださいとアナウンスしました」と語った。「『御利益がなくなります』と言ったのは蛇足かもしれないけれど本音です」と複雑な表情を浮かべた。【村上幸将】

◆坂本八幡宮(さかもとはちまんぐう)応神天皇をご祭神とする神社。平安時代にあった天台宗の寺院「善照寺」がすたれた後、戦国時代の1532~57年頃に神社として再興したと考えられている。神社の付近は、大伴旅人が730年(天平2)正月13日に「万葉集」第5巻「梅花の歌」三十二首の序文「初春の令月にして気淑よく風和らぎ」を詠んだ歌会「梅花の宴」を開いた、自宅の跡地との説がある。

◆御朱印 神社や寺院で、参拝した証しとしていただく印。昔は写経を奉納した証しとされた。基本的に寺社の神職や職員、氏子らが押印するもので、寺社の名前や日付が記される。寺社によって形式が異なる。近年、御朱印集めがブームに。集印用の専用帳面「御朱印帳」を持参し、御朱印を集めるために寺社を参拝する人が増加。御朱印を集める女性は「御朱印ガール」と呼ばれる。芸能人では、杏(33)や篠原ともえ(40)らが趣味と公言している。