安倍晋三首相は19日、都内で行われた北朝鮮による日本人拉致問題の早期解決を訴える「国民大集会」に出席した。

首相は従来の方針から一転して、条件をつけず、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に会うと、日朝首脳会談の無条件開催を目指す意向を示したばかり。首相は「拉致問題解決は安倍政権の最重要課題」と強調した上で「金委員長と条件をつけずに会って、率直に、虚心坦懐(たんかい)に話したいと考えている」と述べた。さらに「何とか皆さんがお元気なうちに、(被害者を帰国させて)抱きしめていただくのが私の使命」と、あらためて早期解決に向けて決意表明した。

拉致問題担当大臣も務める菅義偉官房長官も出席し、日朝首脳会談の無条件開催について言及。「政府としてはいかなるチャンスも逃さず、全力で取り組んでいきたい」と話した。

拉致被害者家族会からは高齢化が進み、早期解決を切実に訴える声が相次いだ。横田めぐみさんの母早紀江さん(78)は「年を取って、時間が少なくなり、むなしい思いがあります。主人は言葉があまり出ないのですが、『めぐみちゃんに一目会うまで頑張る』と話しています。それぞれ苦労しながらも、前向きに頑張っています」。めぐみさんの弟で家族会事務局長の横田拓也さんは「今がまさに正念場」と訴えた。

増元るみ子さんの弟増元照明さんは、日朝首脳会談無条件開催について「もっと早く言ってほしかったというのはあるが、条件を下げるというわけではなく、金委員長にひきずり出してでも、対話しようということ」と前向きに受け止めていた。