新学習指導要領の全面実施に伴い、「学び」が大きく変化する。人工知能(AI)などの情報技術の革新を見越し、20年4月から小学校でのプログラミング教育が必修化されることを受けて、「プログラミング学習」が注目を集めている。

インターネットを活用した在宅学習などでプログラマーを育成するシステム開発会社「凜(りん)」(本社・東京都品川区)では、200時間の授業を受講すると、最短3カ月でSNSのようなシステムを1人で組めるようになる。新規受講者は、15年に比べて約5倍に急増したという。同社の柳田亜沙美社長(40)は「特に、子育て中の30代女性の受講者が増えています。在宅での仕事を目的とするほか、小学校でのプログラミング授業が必修となることで『子供に負けられない』との思いで勉強する方もいます」と話した。新学習指導要領では、コンピューターの基本操作や、算数や理科などでプログラミング的思考の育成が明記されている。

受講者増加の背景には、近年のIT業界の人材不足も大きく影響している。経産省によると、20年に36・9万人、30年に78・9万人の人材不足が予測されている。同社ではプログラマーの育成だけでなく、全課程修了後に大手企業などへの紹介や正社員としての就職支援も行っている。柳田さんは「もともと、私もプログラミングは素人でした。しかし、勉強して手に職を持つだけで、子育てをしながら十分収入を得ることが出来ます。働く女性が子育てを理由にキャリアを中断させられることはとても残念ですし、そんな女性たちの少しでも力になれればと考えています」。同社では、小さな子供をベビーシッターに預け、その横でプログラミング授業を受講することが出来る。今後は「ママ割」もスタートさせる予定という。

また、レゴ(本社・デンマーク)傘下のレゴ・エディケーションは4月、レゴブロックでコンピューターのプログラミングが学べる“理系教材”の販売は始めた。小学校高学年以上の子供たちがモーターなどが付いたブロックを組み合わせてロボットを作り、コンピューターで操作する。1949年に発売されたなじみのレゴブロックでプログラミング学習が出来るとして、世界中の教育関係者から関心を向けられている。

「プログラミング」と聞くと、高度なコンピュータースキルが求められ、不安に思うかもしれないが、10カ月後には小学生が学ぶ時代が訪れる。時代の変化とともに、年齢関係なく、今こそプログラミングを「学ぶ」絶好のチャンスなのかもしれない。