8月14日に運営会社の従業員のストライキが発生し、営業が2日、ストップする事態に発展した東北道・佐野サービスエリア(SA=栃木県佐野市)上り線のフードコートと売店の問題で、運営会社「ケイセイ・フーズ」のストを起こした社員が23日、職場に復帰し、ストを終了すると明らかにした。同日、ストを起こした社員側の広報担当を務める、前総務部長の加藤正樹氏がSNSで発表した。

加藤氏はフェイスブックで「私たち佐野サービスエリア労働組合は、2019年9月22日午前6時、職場に復帰しました! 大変急な話だったので、口頭による合意のみによる復帰です。両者の認識が合致しているかどうか、最終的な合意内容のすり合わせは、これからということになります」と明らかにした。加藤氏によると、ケイセイフーズがスト発生後、頼んだ代替の業者、担当者が22日に現場を明け渡したことを受けて、掃除などをしつつ、営業を徐々に再開していたという。

加藤氏はフェイスブックに「39日と3時間。本当に長く、苦しい戦いでした」と職場復帰までの思いをつづった。

「今回の場合、“負ける”ということは、従業員にとって、生活の基盤を失うことを意味します。特に高齢者の皆さんは、再就職もままならない。私は、そのリスクを冒させてしまった責任の重さに、なんとか持ちこたえなければならない…本当に苦しい日々。大きな後悔と反省をし続け、なおかつ、勝つための努力をし続けた日々でもありました。そんな中、一旦は“負け”を覚悟した私たちが、職場に復帰までたどりつきました」

加藤氏は、その上で「現在、正常化に向けて、引継ぎ作業等を実施中です。佐野サービスエリア(上り線)は、9/24(火)11時をもって、通常営業に戻ります。従業員一同、皆様のお越しを、心からお待ちしております」(コメントは原文のまま)と、24日から通常営業を再開する考えを明らかにした。

ストは、発生前日の8月13日午後、同社の親会社の建設会社に関する信用不安情報が、フードコートと売店に商品を卸す取引先業者に露見し、7月25日前後から商品が納入されなくなったことに端を発した。そのことを受けて、加藤氏が商品の代金を前倒しで支払う旨の覚書を作成し事態を収拾し、商品は再び納入され始めたが、覚書にサインした岸敏夫社長が内容の変更を求め、反発。その中で、資金繰りが厳しいことが明らかになり、そのことを糾弾した加藤氏が解雇されたことで、ストに発展した。

複数の関係者によると、ストが長期化したことなどを受けて、岸敏夫社長は退任するという。【村上幸将】