ファッション通販サイトZOZOTOWNを運営するZOZOの創業者・前澤友作氏(43)が30日、台風15号で大きな被害を受けた千葉県館山市、南房総市、鋸南町、鴨川市を訪れ、各自治体に1000万円ずつ、計4000万円の義援金を贈った。前澤氏は同県鎌ケ谷市出身で、ZOZOの本社を千葉市に置くなど郷土愛が強く「少しでも何かのお役に立てばうれしい」と自ら行動したという。

前澤氏は鴨川市役所を訪れた際、亀田郁夫市長から「風評被害で鴨川に来る人が減っている。鴨川シーワールドは、すぐに営業再開して元気にやっている」「千葉には鴨川シーワールド以外にも、たくさんの楽しい施設があります。悲惨な台風の被害状況だけではなく、前向きなことも宣伝して欲しい」と依頼を受けた。関係者によると、同氏は「じゃあ、行かないわけにはいかない」と、その足で鴨川シーワールドを訪れたという。

鴨川シーワールドで、前澤氏は人気のイルカのショーなどを見た。そして「いつものイルカのショーが、今日は違うように感じました。力強くジャンプするイルカたちも、感嘆の声をあげるお客さんたちも、みんなが台風に負けずに頑張るぞ! って言っているような一体感ある感動的なショーでした」と感激したという。

鴨川シーワールドの関係者によると、台風15号が9日に千葉県に上陸したが、鴨川シーワールドは翌10日に通常通り午前9時から開園したという。東京の各地域と鴨川シーワールドを含む千葉県内各所を結ぶ高速バスは12、13日に、JR外房線も13日に全線で運行を再開した。ただ、台風で大きな被害を受けたというニュースが多い影響からか、客足は例年の半分に落ち込み、ここ数日で、ゆるやかに戻ってきている状況だという。前澤氏は「また近々、来たいと思います」と鴨川シーワールドへの再訪も誓ったという。

前澤氏は、12日に都内で開いたヤフーとの資本業務提携契約会見でZOZO社長の辞任を発表した。3日後の15日には、鋸南町を一ボランティアとしてお忍びで訪れ、台風で飛ばされた屋根瓦を直したり、がれきや廃棄物の片付けなどの支援活動を行っていた。

一方、ZOZOも、15日に千葉を支援するプロジェクトを立ち上げ、同日から20日までのZOZOTOWNの売り上げから1%を寄付する企画を進めた。その中、前澤氏が12日の会見で着ていたTシャツが、会見を開いた12日だけで800枚も売れたことを受け、Tシャツの売り上げも全額、寄付することを決めた。Tシャツは胸に、同氏が1998年(平10)に創業した際の名称で、18年10月まで社名としていた「スタートトゥデイ」を英語にした「Let’s Start Today」が書かれていた。

1枚2020円のTシャツは7986枚も売れ、販売総額1613万1720円は千葉県に全額寄付する。ZOZOTOWNの15日から20日までの売り上げから1%分を加えた支援金総額は、7054万561円に上った。【村上幸将】