発明家のドクター中松氏(91=本名・中松義郎)が29日、都内で会見を開き、米映画に主演したと明らかにした。中松氏は「最新アメリカ映画の主役となる。ストーリー、役は興味深いもの。撮影は、フロリダのディズニーワールドの近くで行った」と説明した。

中松氏によると、出演オファーを受けて4~5年にわたり、少しずつ撮影を続けてきたという。現在は音入れや編集などのポストプロダクションを行っており、20年8月に米国で公開の予定だという。一方で、製作側から同2月に再渡米を要請されており、追加撮影の可能性も示唆した。

監督は米国人だというが、中松氏は「細かいことを言ってしまうと、バレてしまう」として作品のタイトルなど詳細は伏せた。その上で、同氏は会見で場面写真と撮影風景の動画を公開した。場面写真には、大きな椅子に深く腰掛けた中松氏の両脇に覆面を着けた巨漢が立っている様子が写っていた。中松氏は、記者が繰り返し質問すると「僕の役は、世界を動かす人物。あの男たちは僕の部下役。米国映画には必ずアクションがあるが、ああいう男たちがたくさん出てくる」と明かした。

中松氏は、その上で「米国の、すごい人が出る」と断言した。「トランプ米大統領の可能性は?」と聞かれると「う~ん…まぁ」と口にして、しばし沈黙した。そして「それも可能性はあるね。あまり、言えないけど…すごい人ね」と言い、笑った。

中松氏は会見で、映画業界とは深い縁があると語った。同氏によると、三井物産在籍時に母校・東大出身の松竹・城戸四郎社長に食事に誘われ「映画は隆盛だが、テレビが出てくる。映画離れが進み、みんなうちの中でテレビを見ちゃうから、テレビに負けない映画を発明して欲しい」と頼まれたという。そこで“ナカマスコープ”を発明。後にシネマスコープに名前が変わったという。

松竹は、1960年(昭35)にスキー選手のトニー・ザイラーと鰐淵晴子が主演した「銀嶺の王者」を公開したが、中松氏によるとナカマスコープ映画方式を使い、製作された映画だという。中松氏は旧通産省(現経産省)の勧めで「ナカマスコープ株式会社」を立ち上げ、それが現在、ドクター中松総研に名を変え、63年間続いているという。

中松氏は、2003年(平15)公開の映画「シベリア超特急3」で、三田佳子と共演シーンを演じるなど、映画や映像に出演した経験がある。ただ、今回の映画出演については「日本人の顔だからとか、顔が東洋人だから起用されたのではなく、日本人の役を演じたわけじゃない。今までの日本人の役者とは違う。普通の役者じゃ、ダメなんだ」と、これまでとは全く次元が違う映画だと強調した。

米映画への主演を発表したものの、日本の配給は選定中で、配給希望者がいれば問い合わせを待つとした。その上で、中松氏は「(自分は)日本では全然、人気はないですが、アメリカで大人気なので92歳になっても米国映画で主役となる理由がある。米国人の希望で出演した」と胸を張った。【村上幸将】