滞在先のイタリア・トリノで11月15日(日本時間16日)に倒れ、入院していた漫画家の松本零士氏(81)が4日朝、入院先のレ・モリネッテ病院を退院した。松本氏のイタリアの公式ファンクラブ「松本零士文化協会」がフェイスブックで明らかにした。

フェイスブックによると、松本氏は関係者に「調子は良いです。今回、示してくれた愛情について、イタリアの友人全員に感謝します」と謝辞を述べたという。車に乗って右手を上げた松本氏の写真も掲載した。

松本氏は代表作の1つ「宇宙海賊キャプテンハーロック」の、イタリアでのアニメ放送40周年記念イベントに招待され、11月14日にトリノ入りした。15日午前にはトリノの中央市場で学生との会合に出席後、「銀河鉄道999」の上映が行われる同市内のマッシモ映画館を訪れたが、息苦しさを感じるなど体調を崩してホテルに戻った。その後、レ・モリネッテ病院に救急搬送され、集中治療室(ICU)に入った。

倒れた当初、イタリアの複数メディアが「脳卒中で深刻な状態」と報じたが、松本氏は入院から一夜明けた16日に精密検査を行った結果、脳には問題がないことが判明。同行した関係者と会話できる状態にまで回復し「何で、ここにいるんだろうね?」と尋ね、倒れた事実と状況を伝えられると「あぁ、そうなんだ」と答えていた。イタリアのANSA通信も同日「午後4時に(気道を確保するための気管)挿管も取り、状況は良くなった。あと数日、状況を見るため入院するだろう」との、ロベルト・バラーニャ医師の談話を報じていた。

フェイスブックによると、松本氏は帰国の途に就いたという。