2019年の世相を1字で表す「今年の漢字」が新元号の「令和」にも使われた「令」に決まり、日本漢字能力検定協会が12日、京都市東山区の清水寺で発表した。

95年のスタートから25年、約1・5メートル、横約1・3メートルの和紙に特大の筆で今年の漢字を揮毫(きごう)し続けてきた、清水寺の森清範貫主(かんす)は、これまでどのような気持ちで取り組んできたかと聞かれ「毎回、その年を振り返って人災、天災…災いがおおうございました。25年たって…何とか、皆さんの気持ちが明るく、良い字という思いを持って毎年、書かせていただきました」と感慨深げに語った。

「今年の漢字」に選ばれた「令」について聞かれると「山が2つございますが、冠をかぶったみこさんが神の声を聞く、真ん中の字は、かしこまって神の声を聞くという字の作りでございます」と字の作りを説明。その上で「神の声を聞いて私ども力を合わせて、いろいろなことがございますけども肩を寄せ合って、仲良く生きていかなければいけないと思います」と語った。

「令」を揮毫(きごう)するに当たって、どのような思いだったかと聞かれると「この字と伺いまして、なるほどなと感じました。我々、日本人が『令』を心から思っていると思われてならない。『命』という字と、よく似ている。『命』もひざまずいて神の声を聞く。単なる口でなく、神様に感謝を述べる箱。お互いが敬い、尊び、尊敬し合うことが込められた言葉だと思います」と語った。

日本漢字能力検定協会代表理事でもある高坂節三会長兼理事長は「新しい年を迎えるに当たって、我々が心配しているのは、暗い漢字が選ばれるのではないか? 操作しているのではないか? と言われること。数通り、選んで揮毫していただいた。今年は非常にいい字を選んでいただけたことをうれしく思います」と笑みを浮かべた。