東京都の小池百合子知事は30日夜、都庁で緊急会見し、新型コロナウイルス感染拡大に関連し、夜間接客を伴う飲食店でのクラスター(感染者集団)形成が報告されているとして、キャバクラやバー、ナイトクラブなどへの入店を自粛するよう呼び掛けた。夜間営業の店を明示して注意を促す、異例の対応を取った。

厚労省クラスター対策班の指摘で「感染経路が不明な症例のうち、夜間から早朝営業しているバー、ナイトクラブ、酒場での感染が疑われる事例が多発している事が明らかになったと報告があった」(小池氏)ため。感染の恐れが指摘される3つの「密」(密閉空間、密集場所、密接会話)がより濃厚で、小池氏は「若い方にはカラオケ、ライブハウス、中高年にはバーやナイトクラブなど接客を伴う飲食店への自粛をお願いしたい」と求めた。

小池氏は先週の会見で、具体的な業種に言及しなかったが、対策班によると、感染経路が不明な都内の患者のうち、約3割に当たる38人が、これらの業種に関連していたという。保健所の積極的疫学調査に応じない患者も多いといい、積極的に対策を講じなくてはならないとの判断に転じた。 対策班メンバーは、「調査に応じていただけない患者もいる」と指摘。これらの業種で感染拡大が深刻化している恐れを示唆した。

東京都ではこの日、新たに13人の感染を確認。過去最多の68人を記録した29日からは減ったが、検査件数が少なかったためで、感染拡大の傾向は変わらない。小池氏は「爆発的な感染拡大になるか否か、今がまさに重大局面」と強調した。

ネット上では、4月2日に首都封鎖(ロックダウン)されるとの情報が出回るが、小池氏は「一切関知していない」と否定。緊急事態宣言についても「最終的に国家としての判断」と、強調した。【佐藤勝亮】