国税庁の税務大学校(埼玉県和光市)が、6日から実施予定だった全国の新任税務職員約1100人を集めた研修が和光市の申し入れなどでネットなどを使ったオンライン研修に切り替えられたことが3日、分かった。和光市は2日、学校に中止や延期などの再考を強く求めたが、当初、学校は対策をしっかり講じるなどと説明していたという。

学校によると、予定では研修は6月22日まで行われ、参加者の9割が全国から集まり、1人1部屋の寮生活を送るもので、すでに多くが寮に集まっていた。残り1割は近隣からの通いで、国立保健医療科学院などの指導のもと、座席は前後左右2メートル程度の間隔、不要不急の外出の禁止、通いの人にはバスの中の会話を禁じるなどを徹底、さらに時差通勤などの対策をすると説明していた。

和光市は学校に対し、不要不急の外出の禁止、ホームページでの情報発信などの対策も強く要望。松本武洋市長はツイッターで「市からは、政府や専門家会議の方針と適合しているのか、研修のやり方そのものを庁とも相談してほしい、クラスターが発生したら責任を取れるのか等々強く申し上げました」「世間に通用するとは思わないでほしいとも言いました」などと説明していた。松本市長は3日夜、ツイッターを更新し、「税大からも正式にご連絡をいただき、現在の集合研修ではない方法に切り替える旨、ご判断いただきました。苦渋の決断だったと思いますが、関係各位に心から感謝申し上げます。お力添えいただいた皆様にも御礼申し上げます」と報告した。

また、和光市内では、裁判所職員総合研究所も6日から、書記官の養成研修を全国から約300人を集めて実施する方針だったが3日、延期が決まった。参加者は寮生活か通いで、1年か2年のコースを受ける研修。松本市長はツイッターを更新し、「市内の裁判所職員総合研修所で6日から実施予定だった書記官の集合型の養成研修もとりあえず延期が決まりました。最高裁のご決断に感謝申し上げますとともに、本省と掛け合っていただいた大野知事をはじめ、関係各位のご尽力に心から御礼申し上げます」と報告した。

社会全体に、不要不急の会議、集会、外出などの自粛が呼び掛けられ、在宅勤務やテレビ会議、リモート学習などが模索される中、ネットなどでは中止を求める声や批判も起きていた。