作家で環境保全活動家としても知られるC・W・ニコルさんが、3日午前10時57分、直腸がんのため長野市内の病院で死去した。79歳。ニコルさんは2016年に直腸がんを発症し、療養を続けていた。

喪主は妻のニコル真理子(まりこ)さん。葬儀は4日、親族のみによる密葬で執り行われた。ニコルさんが理事長を務める一般財団法人「C・W・ニコル・アファンの森財団」は「献花、弔問などは謹んでご遠慮頂いております。後日、新型コロナウイルスなどの収束次第、改めて故人を忍ぶお別れの会を開催したいと考えております」と、発表した。

ニコルさんは1940年(昭15)、英国ウェールズ生まれ。17歳でカナダに渡り、海洋哺乳類の調査研究に従事し、エチオピアでは動物保護の活動に取り組んだ。62年に空手の修行のため初来日した。日本の伝統的な里山で暮らす人々の生活ぶりに感銘し、80年から長野県に拠点を置き、移住した。和歌山・太地の鯨取りの漁師を描いた「勇魚(いさな)」、「風を見た少年」、「誇り高き日本人でいたい」など数多くの著書がある。

86年に購入した黒姫高原の里山を「アファンの森」と名付け、森の再生活動を行った。95年に日本国籍を取得している。02年に「C・W・ニコル・アファンの森財団」を設立した。05年には日英両国の関係発展における功績を認められ、エリザベス女王から名誉大英勲章が贈られた。